novel2(BL book)

□約束
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部屋に付いている露天風呂に飛段と二人で入り、皓皓たる光を放つ満月を眺める。




約束




「なァ、角都ゥ。今年は雪、降らなかったな」

湯に浸かり寄り添う飛段の伸ばした腕が、湯面に浮かぶ揺らめく月を捉えた。

去年・・・いや、もう一昨年の大晦日の夜になるな。
飛段と二人で泊まった宿。
暁で飛段とツーマンセルを組む前から、人里離れた静かなこの宿をオレはとても気に入っていた。
任務で身体が疲れた時、金の取引が上手くいかず話が流れた時等オレは一人この宿を訪れる。
窓から見える四季折々の景色を眺めると何故か心が落ち着くのだ。
夜の闇に優しく光るランタンの炎。
真っ白な雪に覆われた庭に咲く寒椿。
春の花、夏の緑。
どれも殺伐としたオレの心をよく慰めてくれる。
オレはこの宿だけは誰にも教えず、オレ一人のとっておきの場所にしていた。
が。
何故由りにもよってこの一番煩いやつを連れてきてしまったのだろうか。
宿の名物の精進料理を、野菜ばっかりのぼったくりと喚き、浴衣は一人で着られずに胸を肌蹴させ、太腿と下着を露わにしたまま部屋を出て公共の場を歩き回る。
庭園の美しさ等微塵も分かりはしない。
本当に何故オレはこの下品な馬鹿を・・・?

ハァ、と溜息を吐くとするするとオレの首に飛段の腕が絡みついてくる。

「何だ?」

「なァ・・・オレの、触ってェ・・・」

頬を紅く上気させ、オレの耳に唇を寄せて囁く。

「何を一人でサカってるんだ。馬鹿か、お前は」

ぐいぐいと硬くなった下半身のものをオレの足に擦り付けては身体を震わす。

「いい加減にしろ、飛段!風呂くらい落ち着いて入れんのか。全く、風情が無いというか何というか・・・」

オレは半ば呆れ顔で飛段の絡みついた腕を引き離す。
すると飛段は膨れっ面で、

「だあって、角都がそんなエロい事ばっかすっからいけねーんだろォ?!」

と、まるで子供が駄々を捏ねるように口を尖らせる。
風呂に浸かっているだけでエロい事、と言われても話にならん。
これ以上ぎゃあぎゃあ喚かれるのはごめんだ、とオレは風呂を出る為立ち上がろうと腰を上げた瞬間、飛段に手首を捕まれ湯の中へ引き戻された。
そしてそのままオレの膝の上に乗っかり、抱きついてくる。

「・・・ッ!何を・・ッ」

「だって!!・・角都が優しくてエロいんだもんよォ。約束、ずっと覚えててくれたんだろ?またここに連れて来てくれるなんてさ」

「・・・・・」

「任務で宿に着くのが遅くなっちまって今回は除夜の鐘、聞けなかったけどよ、でも角都が約束を覚えててくれただけで超嬉しいんだぜェ!二人でゆっくり温泉に入れるだけでマジ幸せ。角都超エロい」

「・・・そんな風に思ってくれるのは嬉しいが、それと・・お前の下半身・・・エロと何の関係があるというのだ」

「だからさァ、嬉しくて幸せでもっともっと角都に近寄りてーって事。もっともっと傍で一つになりてーって、そういう事。角都が好き過ぎて身体の制御が利かねーって事!・・・言わせんなよ、エロ角都ゥ」

オレは俯き、また溜息を吐く。
それは顔が緩んでいくのを隠す為。
馬鹿で下品で人をイラつかせる事しかしないようなヤツだが、それでもオレの可愛い幼き恋人。
直情型で、任務では全て顔に出てしまい何度も先を読まれ失敗し、その度に叱ってきたが今はそれも悪くないと思う。
飛段の言葉に嘘は無い。
本音を探ったりする必要は無いのだ。
オレは飛段の背中に回した腕にぎゅっと力を入れた。

「おッ?ノッてきやがったなァ・・って、あ!あ、あ、ひッ!か、くず・・・急に!ソコ、駄目だっ、・・・てェ・・」

「何が駄目なんだ?ここを触って欲しかったんだろう?」

オレは背中に回していた手をそっと飛段の硬くなったソコへ這わせ、湯の中で軽く扱いてやる。
耳元で漏れる飛段の熱い吐息を感じながら、扱く手は休めずに、今度はもう一方の手でゆっくりと後穴の襞を撫でてから指を一本入れて内壁を擦った。
いい所を探るように指を動かし、二本、三本と指を増やしていく。

「はァッ!あ・・あッ!もう、もう限界!角都ゥ・・は、早く挿れてくれよォ・・ッ!」

「せっかちなヤツだ」

オレは飛段のソコへ自身を当てがい、一気に貫く。

そして喘ぐ飛段が満足するまで何度も抱いてやった。



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