小説

□狂愛《槞唯side》
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桜が咲き誇る4月。



風に吹かれて舞い散る桜の中に、白く美しい人影。



どうやら私の視線に気付いたようだ。




「綺麗な桜ですね」



私が声をかけると、彼は少し微笑んで桜の花びらを掴んで言った。




「何度見ても飽きない。この学校の桜は」





そう言う貴方は桜のように美しく、




次の言葉が何も出ないくらい見とれてしまった。




「愁弥!」


「綾」


「またここにいたのかよ。入学式始まるぜ」



彼の友人が近寄る。



制服を見る限り、彼らは私の1つ上の学年のようだ。




後ろ姿でさえ美しい。




「入学おめでとう」




彼は振り返って私に言った。



桜に包まれている愁弥さんが目に焼き付いて離れなかった。











高校からは地元を離れ、一人暮らしを始めた。



これといってやりたいことがあるわけではない。



何も目標などなかった。


だから生徒会に入った。



入学式の時に、在校生代表の挨拶を読んでいた愁弥さんを見て決めた。



面倒な事は嫌いだが、そんな感情を通り越すくらいに傍にいたいと思った。





「ルイ」




名前を呼ばれるだけで、たまらない。



愁弥さんと一緒に居られるだけで胸が高鳴る。






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