小説

□逆愛FOREVER
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どこにいたって、想いは変わらない。



離れてても、愛し続けるよ



放さないから、永遠に





だから―…









『別れよう。理由は明日言う。じゃあな』





想いが通じ合って4ヶ月経った。



普通のカップルならまだ楽しい時期。



でも俺は、電話で別れを告げられた。



クリスマスも年越しも一緒にしたのばかりなのに、原因が分からない。


次の日、俺は寮に戻ってた洸弍の部屋に乗り込んで問い詰めた。



やっと手に入れた恋なのに、簡単に終わらせるわけがない。




「どういうことだよ別れようって」




洸弍は目を逸らしながら口を開いた。








「…俺は4月から3年間フランスに行くんだ」






…フランス?



そんな話、一言も聞いてない。




「昔からの夢なんだ。メイクアップアーティストになるために俺はフランスに行く」



ちょっ、待っ…




洸弍の夢を聞いたことなかった。



勝手に附属の大学に進学すると思い込んでたから。



混乱してる、俺。






「お前は日本で俺はフランス。どう考えても別れた方がいい」


「…」



フランス…?
別れる…?


違う、距離とかじゃなくて。



重要なのは…




「別れたら俺とのことなんて忘れちまえ。どうせ俺はいなくなる。遅いか早いかの問題だから」



泣きじゃくる洸弍からは別れの言葉しか出てこない。


こうなった場合、落ち着くまで抱きしめてやるのが一番だと心得ている。



2時間ぐらいたって、洸弍はようやく落ち着いた。



俺は洸弍を見つめて言った。






「洸弍が別れたいなら別れてもいい」



洸弍が悲し気な表情を見せた。




「洸弍が言う『別れる』っていうのは、もうこうやって会わないようにしようってこと?」


「…あぁ」


「別に会えなくても俺は洸弍を愛してるって気持ちは変わらない。洸弍は別れたら俺を好きじゃなくなんの?」



洸弍は首を振った。



良かった。



なら答えは決まってる。




「だったら別れる意味がねぇじゃん。問題は別れるか別れないかじゃない。大切なのはお互いの気持ちの深さだろ」





ギュッとして耳元で囁いて、
背中を摩って髪を撫でて。



ずっと隠してて辛かっただろうな。



気付いてやれなくてごめん。




「俺の気持ちはどうしてくれんだよ。勝手に別れるとか決めるなよな」


「ごめ…」


「泣かないで。会いにこれないなら俺が行く。メールも海外に送れる時代なんだから今は」


「うん」




やっぱり4ヶ月じゃまだまだ洸弍のこと何も知らない。



洸弍はどういう気持ちで、俺と一緒にいたんだろう。



泣き顔なんて滅多に見せないのに。




でも、泣いてくれて嬉しかった。




「距離が遠くても、想いは変わらないから。絶対に」


「うん」



「ずっと好きだよ洸弍。3年じゃ治まらないくらい洸弍を愛し続けるから。神威よりかっこよくなって惚れ直させてやるよ」





俺には足りない部分がたくさんある。



洸弍の変化に気付かなかった。



だから、もっともっと男らしくなってみせる。



洸弍を包み込めるぐらい大きな人間に。



なってみせるよ。








「だから、もう1人で悩むな」






気付けなくてごめん。



でも大丈夫。



こんなことじゃ俺達は終わらないから。





「洸弍、愛してる」









待ってるから、安心しろ。







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