小説

□掴めない雲≪蝣稀様より≫
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会議はないとは知らされてもこのまま帰るのは何だか忍びなくて


何か仕事はないか、とわざわざ生徒会室へと足を運んだ。



いや、違う。


少しでも愁弥さんを感じていたかったから

少しでも





「――。」



誰もいなくて、ひっそりとした生徒会室はやはり孤独を感じた。

当たり前といえば当たり前なのだが。



ふと目に止まるのは愁弥さんの席。

特に意識するでもなく、誘われるように近寄った。





「、愁弥、さん―。」


凄く悪いことをしている時のような、妙な緊張感を持ちながら愁弥さんの席へと腰を下ろした。


いつも愁弥さんの見ているであろう景色。





―それだけで一つになれた気がした。












自然と伸びる自分の手は股間へと。


触れる前から既に主張を始めているソレをゆっくりと撫で上げた。



「っ、」


声を洩らす事もなく下着の中へと手を滑らせた。


いつ誰が入ってくるかも分からないスリルは何物にも変え難い刺激。

というのも今日は会議がない、という根底にある安心からくるものだが。



「はっ、あ…」


学校でなんて

もし見つかったらどう言い訳するというのか。


でも止められない、あなたを想う故の自慰。

こんな変態行為をしている自分にさえ興奮する。



ますます硬度を増していくソレを上下に擦り上げて。
抑えていた声が、吐息が漏れる。


「あぁ、は、愁、弥…さん」




行き場のない私のこの、全て

私の汚れた欲と一緒に全て吐き出せてしまえたらいいのに








「―――っ!!」



手の平と、床と、椅子に零れた暖かい液体。





途端に自分は何をしているのか、と我に返った。

とてつもなく恐ろしくなった。


私は何をしてしまったのか―。


沸々と侵略してくる後悔と虚しさ



外に放出されて段々と熱をなくしていく自らの液体をただ呆然と見ていた





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