詩A

□knowing
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あの日たしかに
自分から手を離した

引っ張ってくれるてのひらは無くなって
開いたままの手
冷たくなってゆく


もうきっと
あの家には帰らない


離れないようにと
強く握られていた手
その感触を ぬくもりを
忘れないよう
固く固く拳をつくる

冷えた拳に息かけて
一人ここに立っている

帰り道なら知っている
きっと変わらぬ人が待っている

行くべき場所も知っている
ぼんやりと不透明な景色が見えている


知っている


知っている


けれど


まだここに留まっていたい

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