マ文

□大賢者さマの夏期講習!?
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夏。清々しいとはとてもじゃないが言えない日本の夏。
「あー予定ならグラウンドで思いっきり汗かいてたはずなのになー」
 おれの名前は渋谷有利。原宿はあまり好きでない。今日はわけあって、近所の公立図書館へと来ている。
「そういうのは一学期の成績を考えて計画した方がいいよ?」
 隣の席には、いかにも図書館が似合う優等生、村田健が片肘を突いて座っている。
「だってさー」
「だっても伊達眼鏡も関係ないだろ。せめて必須課題だけはやっておかないと、学年末に泣くよ?」
「そ、それはモシカシテ、り、り、りゅう…? うわーっ。それだけは勘弁!」
 そんなことになったら勝利に何言われるか分からない。あ、鳥肌が…。ここの設定温度、低いんじゃないだろうか。
「それを回避するために今ここにいるんだろ? じゃ、まずは課題の作文からやろう」
「うう。なんで高校に入ってまで読感文やんなきゃならないんだぁ〜!うちの高校おかしんじゃね?」
「まあ普通中学までだよね。なんでだろ」
 そう言いながらのん気に本を読んでいるあたり、この眼鏡くんはかなり余裕のようだ。
「なんてったって大賢者だもんなー」
「なんだよ急に。君だって一国の王様だったりするくせに」
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