マ文
□ずっと変わらないモノ
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「ユーリは、グレタのことあいしてる?」
それは、グレタが留学先から一時帰国してきたときのことだった。
丁度眞魔国に呼ばれていたおれは、お供のコンラッドと港まで出迎えに行った。
常に異世界へ単身赴任状態のおれにとって、親子で過ごす時間は一秒でも無駄にできないのだ。
「グレターっ!」
下船してくる愛娘に手を振ってアピールすると、気付いたグレタは、お付きの兵士を振り切る勢いで真っ直ぐこちらにやってきた。
「おかえり、グレタ」
いつもならおれの名前を呼びながら笑顔で頭突き……いやスキンシップをしてくれるのだが、今日のグレタは、無言でおれの腰に抱きついてきた。
「ただいま…ユーリ」
今にも消えそうな小さな声。
「グレタ?」
様子の違うグレタに、しばらく何も言えず困っていたとき、冒頭の言葉が発せられたわけである。
「ずっとずっと、すきでいてくれる?」
遠くから聞こえてくる威勢のいい海の男たちの声と、波の音にかき消されそうな、実際聞こえたのはおれだけかもしれないような言葉。
「どうしたんだよグレタ。おれはグレタの父親だぞ?ずっとずーっと好きだよ」
「でも……えいえんに変わらないあいはないって」