短編小説集
□"好き"の裏返し
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『………』
「やあ、アスカ」
アスカは無言のまま、目の前にいる少年を睨むかのように見据えた。
「アスカ、おかえり」
その少年の隣で、サイコロを転がしていたシンジが、少年に続いてアスカを笑顔で出迎えた。
『…何、してるの?』
「え…?何って…」
「スゴロクだよ。見ればわかるだろ?」
アスカに問われ、困惑の表情を浮かべるシンジの代わりに、少年が微かに眉をひそめながら面倒くさそうに答える。
その少年の言葉に多少、腹を立てたもののアスカは気を落ち着かせ、いつもの調子で口を開いた。
『それぐらい、見りゃあわかるわよ』
「じゃあ、聞くなよ」
『ムッ…あたしが言いたいのは、何でアンタがいるのかって事よ!』
「ああ、そっちの事か」
少年の言動は、明らかにアスカを挑発している。
いつもの事ながら、シンジはそんな2人の様子を若干、ハラハラしながら見守っていた。
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