白兎を追いかける

□傷跡
1ページ/1ページ


「酷いよなぁ、アリスは」

爽やかさ全開でエースは笑う。
「俺、これでも一応ハートの城の騎士なんだぜ?」

知ってる。

どうしようもないくらいに方向音痴で、不幸体質。

でも、例え落とし穴に落ちようが、蜂や熊に追いかけられようが…。

窮地を窮地とも思わず乗り越えられるくらい強いことも。

「俺、今まで背中に傷を負ったことなんてなかったのに」

どこまでも爽やかに。

やってる行為は全然爽やかじゃないし、目も爽やかじゃない。
それでも、爽やかだと思わせてしまう雰囲気を纏ったエースが見せたのは、昨夜私がつけた…背中にある引っ掻き傷だった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ