白兎を追いかける
□傷跡
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「酷いよなぁ、アリスは」
爽やかさ全開でエースは笑う。
「俺、これでも一応ハートの城の騎士なんだぜ?」
知ってる。
どうしようもないくらいに方向音痴で、不幸体質。
でも、例え落とし穴に落ちようが、蜂や熊に追いかけられようが…。
窮地を窮地とも思わず乗り越えられるくらい強いことも。
「俺、今まで背中に傷を負ったことなんてなかったのに」
どこまでも爽やかに。
やってる行為は全然爽やかじゃないし、目も爽やかじゃない。
それでも、爽やかだと思わせてしまう雰囲気を纏ったエースが見せたのは、昨夜私がつけた…背中にある引っ掻き傷だった。