小説

□きっと繋がってる
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「ここは・・・・どこ?」

あかねが目を覚ますとそこは海や森が広がっており、空には月と星が光輝いていた。

「私・・・・・南斗宮にいたはず・・・・だよね?」

あかねは八葉や他の時代の神子を救うため、日々戦いを重ねていた。

一人ずつ八葉を取り戻す事が出来、喜んでいたのだがそれと同時に寂しい気持ちにもなっていた。

(あの人に・・・・・出会ってしまったから・・・・・)

あかねは自分たちの200年後の時代の天の朱雀・・・ヒノエの事を考えていた。

(私とヒノエくんは違う時代の人間・・・・・こんな想い、していたらいけないのに・・・)

「・・・・・・お前に、そんな涙は似合わないよ」

あかねはその言葉に振り向くと、目の前にはヒノエの姿があった。

「どうして・・・・ここに・・・・・」

「それは・・・・ここがお前の夢・・・・・だからかな?」
 
「私の・・・・・夢?」

「あぁ、どうやらこの世界はその人が強く願う人を自分の夢に呼び出すみたいだね」

あかねはその言葉に顔を、かあっ・・・と赤らめた。

「あかねちゃんが・・・・オレをここに呼んだんだよ」

「私が・・・・ヒノエくんを・・・・・」

あかねは顔を背き、うつむいた。

「何を考えていたんだい?」

ヒノエはあかねに近づき、あかねの瞳に溜まる涙を指で拭った。

「何も・・・・考えてないよ?」

あかねはにっこりと笑って、その場から離れようと身体の向きを変えた。

しかしそれは出来なかった・・・・なぜなら、ヒノエがあかねの腕を掴んだからだ。

「ヒノエ・・・・・くん?」

「行くなよ」

「だって、ここにいたらヒノエくんに迷惑かけちゃうから」

「迷惑じゃないから」

ヒノエはあかねの腕をひいて、自分の元へ引き寄せ、優しくあかねの背中を抱きしめた。

「駄目だよ・・・・こんなこと、したら・・・・・」

「どうしてだい?」

「だって・・・・私とヒノエくんは別の時代の人なんだよ・・・・?」
 
「あかねちゃんはそんな事で、想いを断ち切ろうとしているのかい?」

「え・・・・・・・・」

「オレは、そんな事で想いを止める気はないよ」

「どう・・・・して・・・・?」

「それは、あかねちゃんが好きだからさ」

「うそ・・・・・・・」

「うそでこんな事すると思うかい?」

ヒノエはあかねの言葉に優しく笑った。

あかねはヒノエの言葉に首を横に振った。

「私も・・・・・私も、ヒノエくんが好き・・・・でも・・・・」

「この世界でしか、お前に会うことは出来ない・・・・・」

「うん・・・・・」

「だったら、元の世界に戻ってからまた会えばいいだろ?」

「え・・・・・?そんな事、出来るの・・・・・?」

「好きな女のためなら、オレはどんな事でもするよ」

「ふふっ・・・自信満々だね」

「やっと笑った」

ヒノエの言葉にあかねは「え?」と首を傾げた。

「心配かけてごめんね」

「いや、いいさ。あかねちゃんの涙も笑顔を見られるのもオレだけだからね」

「もう・・・・・・」

ヒノエはあかねの身体から離れ、正面から向き合った。

そして小指を差し出した。

「え?」

「あかねちゃんたちの世界では約束をする時、指を絡めるんだろ?」

「うん、そう・・・・こうやるの」

あかねはヒノエの指に自分の指を絡めた。

「また・・・・・逢えるよね」

「あぁ、オレたちは繋がってる」

「うん」

あかねとヒノエはお互いを見つめ、ずっと離さずにその指を絡ませていた。

二人が再び逢えると・・・・ただ、そう信じて・・・・。





END

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