突発ネタ小説
□彼女達は皆知っている。
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(※ギャグ要素注意!)
「ぶ…っ…!!」
「なっ…?!」
―今日は何だか朝からユフィの反応がおかしい。
クラウドは訝しい顔をして、突然笑い始めたユフィを冷やかな目線で見やる。
「…何で突然笑い出すんだ…?」
やれやれ、と声に出そうなくらい大袈裟に肩を竦めるクラウドを尻目に、
相変わらずユフィは笑っているまま。
「だっ…だってさ…
…ぷぷぅ!!」
―ようやく落ち着いてきたかと思えば、クラウドの方に向き直った矢先、
また変なスイッチが入ってしまったらしく、しかし今度は先程より腹を抱える程の大爆笑。
「…本当に、どうしたんだユフィ…?」
「アッハッハッハ!!は…いや…ほ、
ホントーに…な、何でも…ないって!!」
…笑い過ぎたのだろう。ユフィの顔が蛸みたいに真っ赤だ。
そして、呂律も怪しい限りである。
…これは、ユフィから話を聞き出すのは無理そうだと判断したクラウドは、また変に刺激をしない為にと、
逃げるようにその場を後にした。
―今だ爆笑し続けるユフィを置き去りにして…
*********
…それから数分後、今度はティファとエアリスの二人に遭遇したクラウド。
「…あ、クラウドだ!」
「どうしたの?
元気、ないみたい」
二人は直ぐに、
クラウドがいつもと様子が違う事に気付いたようで、心配そうに声を掛けた。
「…いや、
別に…何でもない。ちょっと、疲れただけだ…」
クラウドが気怠そうにそう答えると、
勿論二人は揃って食い下がってくる。
「えっ…ちょっと、どうしたのよクラウドッ!
どこか具合でも悪いのかしら…?」
「…それとも、
何か悩み事、あるの?」
…嗚呼、
そういえばこの二人は、自分よりも他人の事を一番に心配する性格、だったな…
…何て事を考えながら、開口一番にクラウドが呟いたのは、
先程のユフィの件であった。
「成程…そんな事があったのね…」
ティファがそう口にする最中、
エアリスは既にユフィが笑い出した『原因』に気が付いたようで…やけにニコニコしながら、
まだそれを理解していないティファに耳打ちで教えている。
「……………?」
「………あっ!!」
それを聞くや、
ティファも何かを見つけて声を上げた。
そして今度は、
二人で顔を見合わせたかと思えば、ユフィの時と同様にクスクスと笑い出してしまった。
―ユフィの件といい、この二人までもが笑う理由に検討もつかないクラウドは、「説明してくれ」と言わんばかりの顔をしている。
するとティファが、実に意味深な言葉を返してきたのだ。
「…あのさ、
クラウド…今の時期に『蚊』って飛んでると思う?」
「…??
『蚊』…って、
あの、血を吸う虫の『蚊』の事か…?」
「そう!
その蚊、よ!」
―因みに今の季節は冬である。
この時期に蚊が飛んでいるのは、恐らくないであろう。
「…それで、
その『蚊』がどうしたって言うんだ?」
今一つ要領を得ない質問に、今度はクラウドが逆問いする。
「…うーん、
何ていうのかしら…?
…その『蚊』が、
どうやらクラウドの血をよっぽど気に入ってるらしいのね。
特に…首筋とか、腕の辺りとか…」
「ぷぷっ!!」
…ティファのその言葉に一番に笑ったのはエアリスである。
ついでに当の本人であるティファも声が震えていた為、
必死で笑いをこらえていた事が分かる。
「…首筋、腕…?」
クラウドも最初はこれらの単語を真顔で復唱していたのだが、次第に、
何か重要な事を思い出したらしく、ハッと声を上げ目を見開いたかと思えば、
みるみる顔を真っ赤にさせて、首と腕を手で覆い隠す。
「あっ…あの馬鹿犬…ッ!!
…あれ程見える所には絶対に付けるなって言ったのに…!!」
―この後にクラウドが、凄まじい剣幕で自宅に住む同居人を攻め立てる事は、
言うまでもないだろう。
*