突発ネタ小説
□可愛い奴だな!
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「はあ‥」
「私‥ハルカちゃんみたいに可愛い女の子になりたかったなあ‥」
‥突如、
自分の隣にちょこんと座る、
ピンクと黒の着物とお揃いのリボンを付けたショートヘアの女の子、モイ(本名はモイモイ!)がそんな事を口ずさむ。
「‥?」
急な話に要領を得なかった俺は、
思わず声にならない疑問符を投げ返した。すると、モイはさらに淡々と難しい言葉と単語を並べ立てて話を続ける。
「‥あのね、本当は‥こんな事言っちゃいけないと思うんだけど‥
私、ハルカちゃんが羨ましいの」
‥ああ、成る程。だからハルカにないりたいって話な訳か。
‥でも、なんだって急にハルカになりたいなんて思うんだ?
‥みたいな事を言い返してみると、モイはなんだか悲しそうな顔をしながら喋り出す。その表情に、俺は突然一抹の不安を覚えた。
何となくではあるが、モイの言わんとしている事にふと気づいたせいだろうか?
「だって‥ハルカちゃんは、
私よりずっと可愛いし女の子らしいし、お姫さまだし‥それに‥」
「私より‥ずっと長い間、
ダイちゃんを側で見てきたから‥羨ましいの」
‥確かに、俺とハルカは、リュウとまだ三人だけで居た頃からの付き合いだから一番古い。それから暫くしてからセオが来て、そこから更に後になってからようやくモイとも出会った。詰まりは、
暫定的に現在彼女が一番付き合ってから日の浅い人物である。
‥でもさ、モイ。
「‥いくらハルカと同じ立場になったって、モイの理想通りになるとは限らないんだぜ?」
「‥えっ?」
今度はモイが、はて?とばかりに首を傾げてこちらを見ている。
「‥単純な話だよ。まあ‥ハルカの方はどうだか知らんけど、
少なくとも俺は、ハルカの事は仲の良い姉弟みたいにしか思えないからさ」
‥だから別に、彼女になった所でモイの事をもっと早くに意識するようになってたとは限らない。
‥そう言うと、モイはぽげーっとした表情を浮かべる。あれ、難しかったかな‥結構分かり易くモイに対する気持ちを言ったつもりだったんだけど‥
「だから、モイはモイでいなよ。
怒りっぽかろうと、上品に振る舞えなかろうとそれがモイなら、俺はそっちの方が好きだし‥」
‥だって、俺が好きなのは、
不器用ながらに、頑張って可愛くなろうと努力するモイだから。
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