ぽけ&すぺ
□お菓子かイタズラか?…ていうか両方!!
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「シールバー!!見てみろよ!コレ!」
そう言ったゴールドの指差す先にあった物、それは…
「…何だ、ソレ…」
「決まってるだろ!!
ハロウィンにお菓子ときたら、コレが必要不可欠!!てことで、お前にやるよ!!」
ゴールドが差し出した物、それは、
「…衣装…」
ハロウィンに良く使われる、割とありきたりな魔女的衣装。
全く、こんな物何処で手に入れたんだろうか…
「てゆうか…貰った俺に一体どうしろと?」
そう言い返せば、奴は決まってこう言う。
「いいから、着てみろよ!!」
いや、この衣装を渡された時から、ゴールドの考えは既に読めている。
本来なら、全力で拒否する所だが、相手が相手だけに、そうはいかない訳で。
そうこうしている内に、いつの間にかゴールドに着替えさせられていて、結局は奴のされるがまま。
「ほい!出来た!!」
それから、改めて着せられた衣装を眺めてみれば、割と露出がある事に気づいた。
特に一番気になるのは、異様なまでに短くされたスカート丈だ。
「…何でこんなに短いんだ?」
「あー、それはオレのこだわりって奴☆」
どーよ、感想は?
…と言われたが、俺は微妙だと思った。
「…何か、スースーして気持ち悪い」
「まぁ、それくらい
よくあるこった、気にすんな!!」
いやいや、お前は実際に着てないからそんな呑気な事が言えるんだろう?
「全く…付き合いきれないな…悪いが、これはお前に返す」
それから、脱ごうと洋服のボタンを外していく。
何がこだわりだ!
お前の都合など知った事か!
そう呟きながら。
「えー?もう脱いじゃうのか?」
「当たり前だ!そもそもこんな服が俺に似合う訳がない!」
「そーかー?俺的には結構似合ってると思うけどなぁ…」
そう言われ、少し躊躇する。
それは別に、似合うと言われて嬉しいとか、そんな意味ではない。
ボタンを途中まで外した所で、手を止めた。
「あれ、どうかした?」
「…止めた」
「え、何?」
「気が変わった。
仕方ない、もう少しだけなら、着ててやってもいい…」
「え、マジ!!やったー!!」
そう言ってゴールドは、今日一番の笑顔を見せて、俺に抱き付いて来た。
「サンキュー!シルバー!」
その時、俺はようやく何か分かった気がした。
コイツにはもう逆らえなくなったという事と、ゴールドの笑顔が見たかったのだという事。
でもやっぱり、その感情を受け入れるのはちょっと気恥ずかしいので、まだ認めないでおこう。
「ついでにさ、その格好で写真撮ってもいい?」
その一言は、俺の緩んだ気持ちを再び凝縮させた。
「…やっぱり、お前はただの馬鹿だ」
―END―