ぽけ&すぺ

□追われるだけの隠れんぼが、幕を開けた。
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(※ジョウト組&シルバーが危ない&クリスがゴールドの妹ルール。)





血生臭い臭いが部屋中に漂う、油断してると吐きそうになる程酷い。

その部屋の一角に用意されていた、暗くて小さな押し入れの中に、俺とクリスは静かに息を潜めている。





今の俺達は、"逃げるだけ"のかくれんぼを不本意にやっているようなもんだ。

勿論、不本意だから、俺達二人は命懸けで"鬼"から逃げ切って、生き残らなければならない。





「…お兄ちゃん…」


妹のクリスは、前は明快でサバサバした性格だったが、この"遊び"のせいで、今ではちょっとした外の変化に敏感に反応する程臆病になってしまっている。

現に今日だって、ポケモンが外をウロウロしている足音を、"鬼"が来たのかも知れないと言ったぐらいだ。精神的にもこれはかなり応える。



そもそもの始まりは、昨日の事だった。




俺は、クリスとオーキドのじーさんの手伝いをしてコガネシティを訪れた時、たまたまシルバーと出くわし、懐かしい昔話に花を咲かせていた。


その後、俺達はシルバーと別れ、研究所に戻って来た後、突然ブルー先輩から電話が掛かってきたんだ。



先輩の話だと、シルバーが先輩の家に帰ってくるなり、様子がおかしかったそうで。

それから、電話の最中ブルー先輩の悲鳴みたいな声が聞こえたかと思うと、電話はそこで切れてしまった。






何か良からぬ事が起きているのかも知れない。
そう考えた俺達は、直ぐに先輩の家へ向かい、中に入ると、リビングの床に横たわるブルー先輩がいた。


幸い、頬を少し切ってしまっていたが、一応命に別状はないそうだ。


研究所で手当てをした後、先輩からさらに詳しく話を聞くと、シルバーが突然、狂い出したように刀のような物を振り回し、切り掛かってきたそうだ。



普通に考えて、シルバーが訳もなく人に切り掛かって、しかも相手がブルー先輩とくれば、益々理由もなく襲うなど、有り得ないと言っても過言じゃない。


でもまぁ、先ずは生き残れて何よりだ、うん。



「…つまり、先輩の話を聞いて考えるに…裏で誰かがシルバーを操作している…そういう事でしょうか…?」


「…ええ、恐らく、ね…」


「でも、誰なんでしょう…もしかして、シルバーを利用した大きな計画があるのでしょうか…?」


「…そうねぇ…、アタシが思うに、もしかしたら…なんだけど、誰かが…アタシ達を…内部から潰す為に…シルバーを利用している…とかかしら…?」





俺達がこうして話し合っている間にも、"鬼役"に選ばれたシルバーが、俺達のすぐ近くにまで来ているのだろうか―?



そうだとすると、あまり時間はない。


今、俺達に出来る事は、これ以上の被害を出さないようにする事と、なんとかしてシルバーを、元に戻す方法を考えなければいけないと言う事だ。うん。



…まぁ、話し合いはそんなトコでまとまり、俺達と先輩は別々に行動し、この血生臭い遊びを終わらせる為の手がかりを探そうとの事。



「…じゃあ、アタシはもう一度、始めから辿ってみるわ…」


「…そうですか、先輩、気をつけて下さいね…」


「えぇ…ありがと。
…アンタ達も気をつけなさいね…」


「ハイ…」


「ブルー先輩…、レッド先輩とか…グリーン先輩とかイエロー先輩とか…あと、後輩達とか…大丈夫っスかね…?」


俺にとっては、シルバーを助ける手がかりも重要だが、他の先輩方や後輩達の行方も気遣われる。



…まぁ、俺達は、図鑑所有者だから、こんな事くらいで俺達の結束が崩れるなんて思ってもないし、少なくても、皆無事に違いない。




『終わりがあるのかすら分からない、追われるだけの隠れんぼが幕を開けた―』



―END―
 

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