ぽけ&すぺ
□死にたくないなら、こっちに来るなっ!
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ある晴れた日。
俺は川縁に立って、特に意味も無いが何となく川を眺めていた。
「…なぁ、ゴールド。
この川に落ちたら、どうなると思う?」
「んー?
…その川底深ェし、落ちたら死ぬんじゃねーの?」
ゴールドは、土手に寝そべり青空を眺めていた。
「…そうか」
そう返した俺は、勢い良く川に飛び込んでみた。
奴の言う通り、この川の底は深い。子供の俺の足は明らかに着く前に死ぬ。
もうじき俺の姿が川に沈んで見えなくなるであろうその時、側にいたゴールドに手を引かれて川縁に引き上げられた。
「…っ…は…っ!!」
俺の体内は、侵入してきた大量の水を排出しつつ、失われた酸素を求めていた。
思っていた以上に苦しい。堪らなくなり噎せ返る。
「…で、どうだった?」
ゴールドは、表情を変えずに俺に聞いてきた。
「…うん…深かった」
そうだろうな、とゴールドは笑う。
「んじゃ、次は俺の番な!」
そう言ってゴールドも、俺と同じように川に飛び込んだ。
―END―
(…別に、俺達は死にたい訳じゃないんだが…)
(純粋にこんな事ばっかしてたら、それは罪になるんかな…)