ぽけ&すぺ

□それはきっとこうなのよ。
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「俺は毎日が憂鬱だ。

…―分かったら、当分俺に近づくな。」



そう吐き捨てるように言われ、嫌がられると分かっていながら反射的にゴールドは彼を追いかけようとしている。



「お…おい!
…ちょっ…待てよッ!!」



勢いでゴールドは彼の服の裾を掴む。

掴んだまでは良いが…。



(…ちょ…ちょ…ッ!!何してんだ俺ッ!?
んな事したらアイツ…益々機嫌悪くなるじゃねぇかッ!!!)



ゴールドは慌てて「わ…悪りィッ!!」と言いながら裾から手を離すが、案の定、彼はご機嫌ナナメになっているようだ。

印象的な銀色の瞳をいつも以上に細めてこちらを睨んでいるように窺える。



「…―っ!!
……………もう、…俺に構うなッ!!!!
放っておいてくれッ!!!!」



そう強く叫ばれ。瞬間、ゴールドは迫力に気圧され後ろに一歩後退してしまう。

―彼…シルバーはそのまま何処かへと走り去っていくが、ゴールドがその後ろについてくる筈はなかった






*********





「…ちょ…と、
ゴー…ドッ!!」



―誰かが、名前を呼んでいる…



「ちょっと!!
ゴールドってばッ!!!!」



「ぅわっ!!!!」



今まで夢のような、フワフワした感覚に囚われていたゴールドは、突然耳に飛び込んできた声に驚いて座っていた椅子から落ちてしまう。



「…って―…、」



「ちょっと!ゴールド大丈夫!?」



そこそこ長い髪を二つに束ね、ゴールドとテーブルを挟んで隣の席に座っていた少女は、慌てて席を立ちゴールドに近寄る。



「…ゴールド、貴方、一体どうしちゃったのよ?

…いつもなら私の話なんか「詰まんねぇ!」とか言って、話の腰を折るのに…」



そう呟きながらクリスは、椅子から落ちても尚且つきょとんとするゴールドに手を差し出す。



「……………」



ゴールドは、いまいち状況を判断できないまま、彼女の差し出す手を握る






*********



「…成程ね…、
つまり、纏めると…

…「最近シルバーの様子が変だから、ゴールドがわざわざシルバーを呼び出して話をしようとしたら突然距離を置かざるを得ない状況になった!」…
…こんな感じかしら?」



「そうそう!正にそんな感じなワケよ!

…んで、俺としては、アイツと距離を置くなんて考えられるかっつー話だから、先ずはシルバーが何で俺と距離を置きたいなんて言い出しやがったのか、理由が知りたいぜ!!」



自慢げに目標を掲げるような彼の発言に対し、クリスは哀れむような顔で言う。



「…貴方が彼の気持ちを知りたいっていうのは良く分かったわ。

…でも、今の貴方の話を聞く限り、彼は貴方に理由を話してくれそうにないと思うけれど…」



「えーっ!!!!
何でそうなんだよクリスー!!!」



クリスにそう言い返す。



「…そんな事、私に言われたって私が困るだけよ?

…まぁ、これは私の勝手な推測だけど…
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