ぽけ&すぺ

□ねつふり
1ページ/1ページ



―身体が怠い。


ピピピッと鳴る電子音を聞き、俺は気怠い右腕をやっとの思いで動かし、脇に挟んでいた体温計を取り出した。

体温計の液晶部分を見ると、37度5分と表示されていた。



「…熱…だな…」



…どうやら、それほど高い熱ではないが、今日は本当に何もしたくない気分だ。


…とりあえず、少し眠っておくか…


―そう思った矢先。



「シールーちゃーん!!」



…このくそ怠い時に、アイツはやって来た。

―正直、今は誰とも話す気分ではないし、増してや、体調が優れない時にアイツのような煩いのがいると、良くなるものも良くならない。
(…仕方ない、ここは居留守でも使うか…)


布団を頭まで被り、出来るだけ相手にしないようにしていた。

…しかし奴は、そんな俺の気持ちも知らず、何処かで勝手に作ってきた合鍵を使って中に入ってきた。

…チッ、勝手に俺の家に入るなよ…


あまりの怠さに、些細な事でいちいち虫酸が走る。
それが原因で益々頭痛が酷くなっているのは明白だ。

段々と近付いてくる足音に嫌気がさす。

…しかし案の定奴は、俺の部屋まで辿りつき、いつもの調子で騒がしくやってくる。



「おーい!シルバーッ!!遊びにきたぜっ!!」



…頭が痛いせいで、ゴールドの声が無駄に頭に響く。

…全く、頭痛が酷くなったじゃないか。一体どうしてくれる?

…そう考えるとキリがなくなる上に、益々頭痛が悪化する。…もういっそ、考える事すら止めようか。



「…あり?まだ寝てんのか?」



いつまでも布団から俺が出て来ない異変に気付いたゴールド。



…さぁ、どうする?




(…言っておくが、俺は玄関を開けに行く気はないからな…)




.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ