ヘタリア部屋

□大切な日
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「ヴェスト!どこだヴェストー!!」



久しぶりに俺様が我が家へ帰ってきて
やったってのにヴェストの野郎いやがらねぇ…


家の鍵は開いたまま、
鞄も軍服もここにある。

これから推測すると出張ではないみたいだ…


「イタリアちゃんちにでも行ってんのか?」

「ピヨピヨ」


俺様の独り言にも反応してくれる小鳥は
本当にかわいすぎるぜ!!

仕方なく俺はヴェストを待つことにした。

だが待っても待っても帰ってこねぇ…。
それどころか連絡もよこさねぇなんて…。


「…なんか…あったんじゃねーだろうな。」


いやな予感が頭をよぎる。
時間にうるさいヴェストのことだ、いつも夕食までには帰ってきている。
遅くなるなら留守電かメモがあるのだが。

鼓動が早くなる。

携帯を握りしめながら連絡をしようか
しまいか迷っている。

ヴェストにもしものことがあったら
俺はどうしたらいいんだ。
親父に合わす顔がねぇよ…。



「兄さん?」

「っ!?」



―――――ヴェスト…!!――――


「丁度、呼び戻そうと思ってたところだったんだ。さぁ…みんな待ってる。」

「待ってるって…いったいどこに行くんだ?」

「それは教えられないな。」



ニッと微笑みながら、俺を誘導していく。
車に乗せられ少しすると
見覚えのある屋敷へと連れてこられた。


「ここは…―。」


「兄さん、ドアを開けてもらえるか?」



おずおずとドアを開けてみればそこには
世界中の仲間たちが集まっていた。

同時に破裂音と紙吹雪が舞う。

「っ?……??」


訳が分からず立ち尽くす俺に向かって
みんながこう言った。




『HAPPY birthday プロイセン』




「あ……。」

「今日は兄さんの生まれた日だろ?みんな、祝ってくれてるんだ。」


あまりに突然の出来事に呆然としながらも
驚きと嬉しさが入り混じってるからか
目から何かが流れ出る。

独りで寂しいというものではなく
自分は独りではないんだということを
改めて実感し安心してしまったのだろう。


ったく情けねぇな、俺は…。


「プロイセーン、誕生日おめでとぉ〜!
俺イチ押しのパスタ持ってきてあげたよ〜。」

「おめでとうございます、プロイセンさん。
記念に一枚撮りませんか?」

「感謝してほしいね、まったく。
お兄さんの家でパーティー開いてんだから。
腕によりをかけて料理もつくって
あげたんだよ!」

「まっ、悪友だからしゃーないなぁ。」

「別に祝うつもりはなかったんだけどよ、
い…一応俺も料理作ってきてやったゴニョゴニョゴニョ…。」

「今日だけ君にヒーローの座を
譲ってあげるんだぞ!誇りに思ってくれ!!」






あぁ、俺はなんていい悪友達を持ってしまったんだろうな。
とっくに俺の存在なんか忘れられていると思っていたのに…。

「友達というものも、悪くないだろぅ?」

「…そう…だな…。さすが俺の自慢の弟だぜ!……ありがとうな…。」

「ふっ…。今日は兄さんが主役だ。」

「あぁ……。」









こんなに暖かかったのは
何十年ぶりだろうか…。








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