テニプリ部屋

□強きふたり
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「部長、ちょっといいっスか?」



部活終わりの部室に越前が来た。



珍しいことではない。



俺が日誌を書いている最中によく、相手をしてくれと頼んでくるからだ。

もちろん、特別なときでないと相手をしてやらないが…。







「テニスはしないぞ。それに下校時刻はとっくに過ぎている。お前も帰れ。」





別にいてほしくないわけではないが、気が散って日誌が進まないのだ。







「わかってますよ。でも部長だってまだ学校に残ってるじゃん。」




………本当に減らず口が……。



「桃城が一緒に帰ろうと誘っていたのに、なぜ帰らなかったんだ。仲がいいんだろう?」







部室には二人きり。


竜崎先生も今日は出張でいないし、他の部員達も全員帰った。



いつにもまして越前の存在が強調されているような気がしてしかたがない。







「桃先輩?……だって部長に言いたいことあったからさ…。」






へぇ……………。





「ってか部長さ、さっきからオレのこと見すぎだよ。そんなに気になる?オレって…。」






!?






そうだったのか……気付かなかった…。





越前はオレにとって特別な存在だ。いや、不二や桃城、他の者にとってもそういう位置にあるだろう。








誰もが翻弄され、魅せる試合をする。





目がいかないわけがない。





俺はコイツのことをどう思ってるんだ?









尊敬………?








いや……、これは…………。





「ねぇ、ペン止まってるから今のうちに聞くけど、部長って好きな人…いるの?」



「……なぜそんなことを聞く?」


「好きな人がいないならオレにもチャンスあるかと思ってさ。」








「どういう意味だ。」







逃げている…。


自分から言わず、越前に言わせようとしている…。




卑怯だ。






越前が俺に好意を抱いているということは分かっている。
周りの部員からそういう情報が入ってきた。
だから、今越前が言おうとしていることも分かる。





なのに!




分かっているのにわざと聞く。



俺は卑怯な奴だ。








「オレ、部長のこと―「好きだ。」」







自分から言わなければ意味がない。
自分の気持ちに気づいたならば告白しようと、今、決めた。



そして、言ってしまった。











「…えっ…?……今なんて…。」




「同じことを言わせるのか、お前は。」





「え…、部長マジで言ってくれてんスか?」









あの越前が赤くなってる…。


たぶん俺も赤いんだろうな。






あぁ、恋とはこういうのをいうのか…。










「返事はどうなんだ。」









チュッ

















「いいに決まってんでしょ。」





「!?…お前…。」







不意打ちのキスなど、もっての他だ。



だが、コイツとならこの先まで行きたいと思ってしまう。



部室で、男同士で、しかも年下。
問題は山積みだ。






しかし抑えられない。













「越前…。」





「部長、今オレに欲情してる?」


「……ああ。」




クスッ……



「いいよ。SEXしても。」







この強い意志をもった眼に流されてしまう―――。












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