学園ヘヴン部屋
□甘い香り
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俺の恋人は少し変わっている。
フランス人と日本のハーフで、占いと甘いスイーツが大好き、しかもハッキング技術に長けているという…。
普通の高校生じゃぁあまりいないよな…こんな人。
でもそんな人を好きになってしまった俺は、もっと変わっているのかもしれない。
そんなことを思いながら2年生の教室へと歩いていく。
教室の前までいったところで後ろから抱きつかれた。
「うわぁ!」
「やぁハニー!どうしたんだい?こんなところまで。」
「な、成瀬さん」
正直言うと、ちょっと苦手なんだよなぁ…、成瀬さんって。
別に悪い人じゃないんだけど…。
「まさか、僕に会いにきてくれたの!?うれしいなぁ」
………こういうとことか…。
「あのっ…違うんです。ちょっと用事があって…。」
今もまだ抱きつかれたままで、みんなの視線独り占め状態だ。成瀬さんはいいかもしれないけど俺は恥ずかしい。
赤面しながらしどろもどろで答えているとすぐ後ろから声がした。
「伊藤君。」
「七条さん。」
後ろにいたのは、俺がここにきた目的、恋人の七条さんだ。
「待たせてしまいましたか?」
七条さんは成瀬さんを俺から引き剥がし、笑顔を見せながら聞く。
「いいえ!そんなことないです。俺も今来たばかりですから。」
俺もとびきりの笑顔でそう返す。
「そうですか。海野先生の手伝いをしていたら抜け出せなくなってしまって……。すみませんね。」
「ちょっとちょっと!僕とハニーの邪魔しないでくれる?」
あ、成瀬さんがいたことすっかり忘れて、2人の世界に浸っちゃった。
「あまりに仲が良かったので、妬いてんしまったんですよ。」
人差し指を唇にあてるお決まりのポーズで微笑みながら、成瀬さんに向かってそう言う。
「君に啓太は渡さないからね!」
「…クス…。さぁ…それはどうでしょう…?」
「しっ、七条さん!!」
危うくバレちゃうとこだった…。
そう、七条さんとの関係はみんなには内緒。
だって色々と大変なことになっちゃうから。
「はい。分かってますよ。それじゃぁ、今から僕は伊藤君と一緒におやつの時間なので…。」
「え!?ハニーと二人きりでかい!?僕も行くよ!ハニーの身に何かあったら困るし。」
「ダメです。…ね?伊藤君?」
「へっ!?…ぁ……はい……。」
「ハニ〜〜〜」
色々と…ね…
どうにか成瀬さんを撒くことができたオレたちは屋上に向かった。
授業も終わり、みんなはそれぞれ部活をしたり、本を読んだりと自由に過ごしている。
会計部の仕事がないときはこうして七条さんのお気に入りの場所に来て過ごしている。
いつものように他愛もない話しをしながら夕日を見ていたら急に七条さんが立ち上がり、「ちょっと待っていて下さい。」と言ってどこかに行ってしまった。
「フフッ。」
七条さんはサプライズが大好きだ。
今日も何かしてくれるつもりなんだろう。
付き合う前まではなにを考えているのかまったく分からなくて困ったこともあったけど、こうやって次が予想できるってことは、少しずつ分かってきてる証拠だよね。
ひとりで楽しくなっていると、階段を上ってくる音が聞こえた。
「伊藤君。」
「何ですか?」
「目を瞑っていてもらえますか?できれば口も開けて…。」
「?………はい…///」
何をされるのかとドキドキしながら指示通りに動く。すると口のなかに甘い香りが広がった。
「え……これって…。」
「おやつの時間…過ぎてしまいましたが、おいしい店のケーキなので今日中に食べてほしかったんです。」
そう言ってニコニコしながら手に持っているのは美味しそうなイチゴのショートケーキ。
生クリームがふんだんに使われていて、イチゴも酸っぱくなく甘い。
それになにより、おっきい…。
「ありがとうございます。すごく美味しいです!」
「そう言っていただけると僕もうれしいですよ。」
フフと笑って俺のほっぺについていた生クリームを指でとった。
そしてそのまま指は俺の口へ……。
「舐めてください。」
優しく命令されれば従わざるをえない。それに、七条さんの言うことにはできるだけ応えたい。
「んっ…」
チロっと舌をだしてたどたどしく舐めると、七条さんの指は奥まで入ってきて俺の口腔を犯し始めた。
「んんっ!ふぅっ、はぁん……」
舐めるのが楽しくて夢中になってしまう。
この形のキレイな指をいつまでも舐めていたい…。
いつのまにか七条さんの手を両手でつかみながら舐めてしまっていた。
「んっんンっ…はぁ…。」
「美味しそうに舐めますね。」
そこまでしてふと我に返る。
「っ!!すっ…すみません!!」
急に自分のしていることが恥ずかしくなって手を離した。
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