THANK YロU

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「いただきまーす!」


目の前には母さんが作ったおいしそうな料理が並んでいる。
俺の横の席にはヨシが座り、前の席には母さんが座る。

・・・今日の晩御飯はハンバーグだ。


「ツーナ」

「ん? なに?」

「ほら、」


ひょい、と俺の皿にヨシが切ったハンバーグが乗せられる。
そして代わりに人参がフォークに刺さり、皿の上から消えた。


「なに、これ、くれるの?」

「うん。 ツナハンバーグ好きだろ?」

「!! 好きっ!」


ありがとう、とヨシに伝えると、これまた極上の笑顔でヨシは微笑んだ。
・・・頬を軽く染めながら。


「・・・もしかして照れてるの?」

「は? 違うし」


どうやら本気で照れているわけではなかったようだ。
じゃあなぜ頬を染めた、ヨシよ。


「お前は可愛いな」

「はあ!? ・・・可愛いとか言われても嬉しくないし」

「俺はな、ツナに変な輩が寄り付かないか心配なんだ・・・」


そっと軽く手を握られる。
いやいや、そんなこと言われても困るし!


「ていうか、可愛くないし、寄り付いてこないし!」


ヨシの手を払い、一気にハンバーグを口にかきこみ皿を空にする。


「ごちそうさま!」

「あらあら。 珍しくツっくんのほうが早いのね」

「母さん。俺も、ごちそうさま。おいしかった!」

「はいはい」


ヨシはモテる。そりゃ弟の俺からみてもかっこいいもん。
勉強だってスポーツだってできるし・・・。

それに比べて俺なんか・・・。
女の子とロクに話したことなんてないし。


「はあ・・・何見よっかなあ」

「この番組おもしろそうじゃん」


ヨシがリモコンを持ってチャンネルをくるくる変える。
しかもちゃっかり俺の隣にぴったりとくっついて座ってる。

まあ、この位置もいつものことなんだけど。


「ツナ、明日の放課後、寄りたいとこあるから付き合ってくれる?」

「んー。わかったー」


そして俺はこの約束のせいでとんでもないことが起ろうとは、

まったくこれっぽちも考えていなかった。





(ツナとデート♪)(なんて張り切っちゃって・・・)

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