Let's party!!

□†第弐章†同盟と霧†
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†第弐章†同盟と霧†
藤夜は、あの後、佐助にこっぴどく扱かれたという…
そして朝は来る。

『啓輔殿っ!!訓練の為に某のお相手を申す!!』
「わかった!!お相手するぜ!!」

朝から訓練をしている二人を社(やしろ)の上から佐助が呆れたように、藤夜が怠そうに眺めている。
藤夜は幸村と啓輔を眺め頬杖を付きながら佐助に話し掛けた。

[あの二人は、よく朝から訓練なんてするよね。]
〔藤夜も、それぐらい働いてくれたらなぁ〜…なんて。〕

佐助は笑顔で藤夜を見た。藤夜は知らん顔をしながらその笑みから目を逸らしている。


一方の伊達軍はというと…。
小十郎と霧は二人して同盟の件で悩んでいた。
今まで敵としか見ていなかった武田軍と手を組む。
二人が沈黙していたとき、その沈黙を切り出した者がいた。

{なに、そんなに悩むことじゃねえ。}

それは政宗だった。
彼は、そんなことを言うと小十郎と霧に、ニカッと笑ってみせた。
しかし小十郎と霧は、お互いの顔を見て、(そんな簡単なことではない。)と以心伝心した。


武田軍に戻ってきて…。
同盟の件では同じように親方・武田信玄が小十郎や霧と同じように頭を悩ませていた。
同盟を組んだほうが、これからの戦場を有利にすることはわかっている。
しかし、伊達軍が裏切らないという証拠がいまいち掴めない。
実を言うと小十郎と霧も同じことで悩んでいた。
要するに両軍は証拠が欲しいのだ。

いち早く、その状況を掴んだのが佐助…ではなく、藤夜。
佐助は今、違う任務で社を出ていた。
藤夜は晴れない信玄の顔を気遣いながら尋ねた。

[親方様…お顔が晴れませんが、もしや…まだあの同盟の件で?]
【さよう。伊達軍との同盟について考えておった。伊達軍…】

信玄が話している途中で藤夜は話し始めた。

[親方様…、その事でなんですが…伊達軍を信じられては?]
【…藤夜…その根拠は?】
[勝手な判断かも知れませんが…伊達政宗は、人を裏切るような人材ではないと…私は見ておりますが。]
【ほお。藤夜の言うことなら、真実やもしれん。】
[それに…]
【それに…?】
[親方様らしく、ありませんよ。]

藤夜が、そういうと信玄も頷いた。

だから、藤夜は解雇されないのだ。
脳筋二人には繊細なことは無理なのだ。脳筋だから(笑)

その頃、伊達軍も決心を固めていた。
小十郎と霧が政宗の言葉で悩みが吹っ切れたのだ。

〈しかし政宗様、武田に裏ぎ…〉
{おっさんだってわかってるはずだ。そんなことはしない。}

霧には政宗の、その絶対的な自信がわからなかったが、それが政宗の良いところだと思う。
だから今、伊達軍にいるのだと思う。


武田軍は…いや、幸村と啓輔は、既に訓練を終えていた。
幸村は、ある事に気が付いた。

『啓輔殿…、藤夜殿が先程から見当たらぬ…。』
「本当だ。何処に行ったのかな?」

その頃、藤夜は山を越え伊達軍の所に来ていた。
いつもなら屋根裏から忍び込むのだが今日は訳が違う。正門から真面目に。

ドタバタドタバタ!!

誰かが廊下を走って、こちらに来た。
それは、正門にいる見張り番だ。
小十郎は見張り番に、すごい剣幕で睨み付けた。

“何かあったのか?”
《たっ武田軍っ!!》
“武田軍だと!?政宗様?”{おもしぇ〜、わざわざ出向いてくるとはなっ!!}
《いやっ
〔私が見てきます。〕

小十郎は丁度、寝不足やストレスで冷静さが欠けていた。
その事を知っていたのは一緒に悩んでいた霧のみ。
政宗に至っては暇すぎて戦いたいのだろう。
霧は、このような時に頼りにもなるのだ。
何故なら昔から啓輔や藤夜と仲が良くいつも二人に振り回されていたから慣れている。
霧は護身用に自らの愛用の刀を持ち正門を開く。
正門を開けば、大勢の武田軍とは違い、見覚えのある一人の忍びが目の前に立っている。

霧は一瞬、安心をした。 いくら、敵だといえど友人がいる事実に変わりが無かったからである。
霧の計算通りというには都合が良すぎる、しかし、計算違いというには惜しい。
忍びは藤夜だった。
片手には同盟用の巻き物を持っている。
霧は無言のまま、ただ頷いて藤夜を通した。

〔政宗様!!〕
{おっ!ん?}

政宗は戦いを望んでいたようだが、的外れだったことに少々、やる気が落ちたご様子。
霧は、小十郎の横を通って藤夜を連れて広間の中央に座った。
藤夜は素早く巻き物を広げると政宗に見せた。
政宗が笑顔になった。
小十郎は政宗の、その様子だけで状況を判断できたようだ。

[それでは同盟を組んでいただけるんですね?]
{あぁ〜。断る理由がねぇ。なぁ〜小十郎!}
“はい。政宗様。”

霧の戦とは違う緊張も晴れたようだった。


あとがきです♪
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