Let's party!!

□†第八章†松永の思惑、啓輔に危機†
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注意
この先に血の描写や弱グロな表現がありますので苦手な方は読まない事をオススメします。
大丈夫な方、それでは参りましょう

佐助は昨日の事を、すぐにお館様に報告をした。
通称ボン●ーマンの松永の事そして、その配下に居る籐夜の弟の晴夜の事を…
お館様の表情は、すぐに険しいものへと変わった。





その頃…
最近、暇すぎて死にそうな奴がいた。
彼は社の畳の上に寝転がり動物の毛皮のように広がって大の文字になっている。

「ヴェェェェ…」

蚊の羽音のように消えていく彼の声。

「ひぃぃぃ〜まぁぁぁ〜だぁぁぁぁ〜…」

佐助、お館様が悩んでいるというのに…隣の部屋で、ひたすら唸っている。
佐助がボソッと呟いたのは聞かなかったことにしておこう。
佐助の脳裏から離れない、あの時の籐夜の表情…
その時…お館様が吹っ切れたような顔をして隣の部屋まで、わざと聞こえるように叫んだ。

【わかった。とりあえず幸村と啓輔を一度、外に出してみるか。】
{あれ〜お館様〜オレ様の話を聞いてました…?}

佐助の意見は右から左へ流された…
その言葉を待っていたのは暇すぎて死にそうだった啓輔、肝心の幸村は社には丁度、居ない。
佐助は知っていた、隣の部屋に居る猛獣が戦から少々?離れて餓えている事を…
しかし佐助は一応お館様に、もう一度、反論をしておく。

{お館様〜籐夜の弟は旦那と啓輔を上回ってるんですよ〜、お館様は旦那や啓輔、危うくは籐夜やオレ様を殺すつもりですか〜?}
【何もしなければ後々、厄介なのは、お主も解っておろう。】
{ですが、お館さ}
【まずは松永や晴夜と戦うのではない…、辺りの残党共を始末するのだ。】

その話を隣の部屋から盗み聞きしていた啓輔がニコニコしながら、隣の部屋から来た。

「お館様…戦に行っても良いんですか?」
【さよう…。しかし、松永、籐夜の弟と遭遇したなら身を退くのだ。】
「はい。」

返事をした啓輔の瞳は、そうは言っていない。
幸村が留守な今、啓輔だけなら燃える度が少ないといえど普通、自分よりも強い者に会った場合、戦いたくなるのが武将の本望だろう。
佐助の脳裏に又あの時の籐夜の顔が言葉が過る。

〔昔にはなかった大切なものが…傷つくのが怖い。〕

佐助の意識が戻った時には既に啓輔が社を出た後だった。










馬を走らせる紅き鎧に身を包んだ青年の片腕には大斧が持たれている。
たった一人で無謀である。
しかし啓輔には反って味方が居る方が不利なのだ。
何故なら味方が居た場合、味方を守らなくてはならないからである。
守ということは陣を組むということ、つまり相手側から攻撃を受けにくい陣を組まなければ兵士を無駄死にさせる恐れがあるからである。
啓輔は知っていた。
自分には味方を守れるだけの陣を組むことが出来ない事を。
味方を見殺しになんかできない。
どうせ死ぬのなら自分一人でいい。
しばらく馬に走ってもらっていたので休憩をした。
馬を撫でていたら、森の方から低い声が。
馬が急に暴れだす。
その馬の鳴き声を聞いた残党というよりも盗賊の方が正しい。
その盗賊が森から出てきた。
盗賊の長らしき男がオレに上からものを言う。

〈おい。そこのおチビちゃん鎧や馬それに持ち物を置いていけ。〉
「……。」

啓輔は俯いたまま黙っていた。
盗賊は調子に乗って先程までの警戒は無かったかのように啓輔に近寄っていった。
長の様子を見た周りの奴も調子に乗って笑い始める。
ついに長は啓輔の真前に立ち啓輔の頭に手を乗せようとした瞬間だった。


グシャッ!!!

長の片腕と共に赤き血が天を舞う。
長の片腕は啓輔の斧に切断されたのだ。
切断された断面からは赤き血の噴水状態に、目の前に居た啓輔が血で染まるのは説明せずとも、お分り頂けるだろう。
先程まで黙っていた啓輔が口を開くと同時に長が後ろに倒れた。

「汚らわしい…オレに触れるな…クズ共が…」

どうやら今の啓輔の挑発に腹を立てたらしく周りの盗賊が口笛を吹くと森からゾロゾロと盗賊が現われた。
盗賊は長を亡くした悲しみにくれながらも啓輔を睨み付けている。
しかし全く動じようとしない啓輔はただ盗賊が襲い掛かってくるのを待っていた。
その姿は小柄ではあるが獅子のごとく、野性の草食動物を待つごとく、ただ静に斧を敵だけに意識を向けて啓輔は、そこに立つ。


黄緑色の髪が赤く染まるのに、そう時間はかからない。
どんどん走って盗賊は啓輔に向かっていく。
しかし全くの無傷まま人を切り刻み倒していく。
辺りの草も赤く染まり馬は怯え、その場から動かなくなってしまっていた。
盗賊は懲りずに向かってくる。

〈死ねぇぇぇぇ!!!!!!〉

盗賊の中には、まだ幼い子供や女性まで居る。
今、突っ込んできたのも子供だった。
泣き叫ぶ人、体を切断されたのに生き延びてしまった人。

(全く…今の時代は、どうして争いが絶えないのだろうか、武将なのに昔から嫌いなんだ無駄な争いごとは…)

そんなことを考えながらも盗賊の攻撃を受け流している最中だった。
一人だけ動きの違う者が居た。
その者の顔は、どこかよく知っている者の顔に面影が似ている。
啓輔の顔に嫌な汗が伝った。
そう、それは籐夜の面影がある忍び。
例の晴夜という忍びだった。
その事に気が付いた時には少し遅かった。
自分の体と共に斧が宙を舞っていた。

「うっ!?」
[遅い!!!!!]

今度は地面に叩きつけられる。
晴夜は、クナイを人差し指でクルクル回しながら鼻で笑った。

[これが甲斐の虎の武将?笑わせるよ。姉さんが居るから、もっとマシなのかと思えば。]
「げほっ…げほっ…」

啓輔が反論する隙などない。
一番、会いたくない相手に遭遇してしまった。
しかも、たった一人で…。
周りの盗賊は手助けはせずに晴夜だけを見ている。
そう、これは、ある意味での松永の作戦。
わざと盗賊や残党を徘徊させ晴夜と遭遇させて力を計る。
きっと残党や盗賊を潰しにかかるはず、そう読んで潰しに来た武将や忍びを死なない程度に怪我をさせ、味方を思うであろう長の意志を揺らして、かかってきた兵士たちを爆弾で殺る。
その標的が武田軍と伊達軍。
どちらの武将を潰しても松永の思惑通りというわけである。
晴夜は残念な表情で文句を言いながら啓輔にクナイを向けた。

[こんなにも手応えが無いと殺したくなっちゃうよ…。]

啓輔の脳裏に、お館様の言葉が過る。

【松永、籐夜の弟に遭遇したなら身を退くのだ。】

その後に過った言葉は死。
(身を退く?こんな化け物のような相手から…?無理だろう……オレにだってそれくらい判る…。)

啓輔は苦しそうに体を引き摺りながら少し離れた所に刺さっている斧を取りに行く。
晴夜はあえて今攻撃せずに待っている。

[半殺しかぁ…一番、難しいな…]
「はぁ…はぁ…。」

たった一撃を受けただけで息が上がっている自分を情けないと思いながらも斧を片手に必死で立つ。
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