忍たま

□次もそしてその次も
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消毒液の独特な臭いがつんと鼻につく。視界には徐々に白に包まれていく自分の腕があって、先程まで見るからに痛々しく真っ赤な血を覗かせていた傷口はもう見えない。くるくるくるくる。包帯が巻かれていく。慣れた、優しい手つきで自分を手当てしている細く、それでも柔らかい指を暫く眺め、ゆっくり視線を上にあげれば、ふわふわと癖っけのある赤みがかった髪が小さく揺れていた。目線は先程からずっと自分の腕に向けられている。すると、小さくだが、もうっ、と声が耳に届いた。


「ん?何??」

「何??じゃ、ないでしょ!」


意味が分からなくて小首を傾げてみれば、視線を変えぬまま、オレを叱る。


「どうして、こう、団蔵と兵太夫は手加減なく争うの?!」


そこでやっとオレに視線を向けた。…不満そうな目をしている。


「いや、手加減はしてるよ」


あれでもねと、先程の喧嘩を思い返す。何処からか取り出した手裏剣やら焙烙火矢だとか、生首のフィギュアや10キロ算盤などを投げつけ合いながらの応酬。そう、つい先程まで予算会議と言う名の合戦が繰り広げられていた。


「あれで手加減って……まぁ、確かに二人なら本気を出してたらこんな怪我では済まなかったかも」


うぅぅと唸る乱太郎に、オレは、あははと笑った。


「乱太郎も、人の事言えないだろ」


ほらそれ、と、未だにオレの腕に包帯を巻いている腕を空いている方の手で指をさす。そこにはオレよりは小さいが傷の手当てをした跡が。


「今回も見事に各委員会のドタバタに巻き込まれてたもんな」


流石保健委員とまた笑ってみれば、ぷっくりと頬を膨らませた。
なんかリスみたいで可愛くて、更に笑ってしまった。


「…はぃ、できたよ!」

「いてっ」


手当てをし終え、綺麗に巻かれた包帯をぺしりと、一回叩かれる。


「次こそは怪我しないでね!」

「ん、努めてみるよ」


ありがとな、と礼を言えば、どういたしまして、と丁寧に返してくれた。


「――あ、でもやっぱり無理かも」

「なんで?」


ふと思い出した様に否定すれば、予想通り、乱太郎はこてりと首を傾げた。


「オレさ、予算会議の後でこうして乱太郎に手当てしてもらうのが楽しみだったりするんだよな」

だからまた怪我してくるよ


そう笑って言えば、ぅ、と小さく言葉を詰まらせて、一瞬にして顔を赤く染める。

そんな仕草も可愛くて、今度は吹き出して笑ってしまった。




end



+++

予算会議では団蔵と兵太夫の争いがすごそう(*^^*)
そして必ず捲き込まれる乱太郎(笑。
この後兵太夫が間に入って(邪魔して)きます←ぇ

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