忍たま
□早朝の訪問者
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どたどたと騒がしい足音が、朝の四年生の長屋に響き渡った。
その音で目を覚ました私は、何事だろうかと、覚醒しきっていない頭で考える。
すると、その足音が段々と近づいてきた。そして私の部屋の前までくると、勢いよく戸を開かれた。
パンッと、きれいに音を立て開いた戸にはそれぞれ手がかけられており、足音の持ち主は、肩で息をしていた。黄色い髪にまだ寝巻姿で俯き立っている人物……同学年のは組、斉藤タカ丸さんだ。
「あ、あのどうし…!?」
起き上がり口にした言葉は、途中で途切れてしまった。伏せられていた顔が上げられ、先程見えなかった大きな瞳には今にも零れそうな涙が溜められていたから。そしてタカ丸さんは勢いよく私に向かって飛び付いてきた。
飛び付いてきたタカ丸さんに、そのまま後ろに倒れかけた体を堪え、彼を受け止める。
「滝夜叉丸ぅ〜〜!!!!」
私の胸に顔を埋め、泣き出したタカ丸さんに、余りに突然の事だったせいで私は両手を意味なく上下させていた。
「ど、どうしたんですか!?」
喧しくなった鼓動を必死に落ち着かせながら、やっとのこと口に出せた言葉に、タカ丸さんは鳴咽混じりに必死に何かを訴えてきた。
私は静かにタカ丸さんに耳を寄せる。
「あ、ああ綾部くっ…が」
「喜八郎がどうしました?」
「い、いないんだよぉ…」
「…え?」
喜八郎がいない?
話によると、先程、髪を結ってあげようと喜八郎の部屋へ行った所、喜八郎の姿がなかったのだという。
「もし、もし綾部くんに何かあったンだとしたら…っ!!」
「だ、大丈夫ですよ、きっとどこかで穴でも掘って…」
「あっ!!」
「うわぁっ!な、なな何ですか!?」
「そうだとして、穴掘ったまま外で寝ちゃってたら大変だぁっ!!」
そう叫んだかと思うと急いで部屋を飛び出していった。
そして、部屋に元の静けさが戻った。
朝から一体何だったンだろうか。しかもこんな朝早くに…。(まだ誰も起きていない時間だ。)
タカ丸さんは、本当に喜八郎の事が好きなんだなぁ…。
朝から、姿が見えないと泣きながら必死に自分を探しに来てくれる…、なんて羨ましい。
つい、そんな事を思ってしまった。
少し早いが、起きて身支度でもしよう。
私はゆっくり布団から出て、布団を畳むと部屋を出た。
end
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いつにも増してぐだぐだですみません。
もう滝の面影もないですね(蹴。
切なめの話にしようと、タカ丸泣かせたのですが、色々逸れて切なめじゃなくなってしまいましt(殴。