忍たま

□分け合いっこ
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「寒い〜〜っ」


耐えられなくなって思わず口にしたタカ丸に、同じく火薬の在庫確認のため煙硝倉にて作業をしている火薬委員−久々知兵助、池田三郎次、二郭伊助が、タカ丸に顔を向けた。
一斉に自分に視線が集まり、タカ丸は両手を擦り合わせながら、えへへと苦笑いを返す。

今、煙硝倉の外では雪がちらついている。地面にはすでに朝から降った雪が地面を白に染めていた。寒いのも無理はない。


「ははは、ホントに寒いですもんね」


タカ丸に続き、赤くなった両手に息を吐き擦り合わせたのは、火薬委員で1番年下の伊助。


「今日から急に寒くなりましたよね」


そんな伊助を、隣で作業をしていた三郎次が横目に同意した。その言葉に、タカ丸は「ねー」と、相槌を打つ。


「ほら、あと少しだ。頑張れ」


三郎次の隣で膝をついて、在庫確認をしている兵助が励ますと、三人は声を合わせて返事をした。







「終わったーー!」


作業が終わり、伊助が嬉しそうに声を上げると、タカ丸も続けて声を上げた。


「ぁー寒い…」


そんな先輩と後輩を見ながら、三郎次は両腕を摩る。


「手が冷たくてしょーがないよ〜」

「大丈夫?伊助くん」


何度も繰り返し両手に、息を吐いている伊助に、タカ丸が声をかけると、苦笑いが返された。タカ丸はそっと、伊助の手をとり、優しく包み込む。


「僕の手の方があったかいから、こうすれば段々あったかくなるよ」


笑いかけるタカ丸に、伊助は照れたように、こくんと頷いた。そんな二人を兵助と三郎次は微笑ましく思い、自然と口元が緩む。


「でも今度はタカ丸さんの手が冷たくなっちゃいますよ?」

「いいのいいの。伊助くんに体温あげる〜」

「でも、」

「あ、伊助くんの手、あったかくなったねー」


伊助の手を解放すると、タカ丸は両手をまた擦り合わせ始めた。


「じゃあオレの手をどうぞ」


今度は三郎次がタカ丸の手を包む。


「ありがとう、三郎次くん。あったかい〜」


嬉しそうに笑い合う三人をみて、兵助は、仲良いな、と微笑み、眺める。するとタカ丸が久々知の元に駆け寄ってきた。何だろうとタカ丸の様子を見ていると、タカ丸の手が自分の両手を包む。


「久々知くんにもおすそ分け」


そう言って自分を見て笑うタカ丸に、兵助の顔の熱が一気に上昇した。否、体全体の熱が急上昇。


「わっ!もう久々知くんの手、僕よりあったかくなった!」


余りにも早い体温変化に、タカ丸は驚きの声を上げる。


何で?すごーい!!


感嘆の声を上げるタカ丸と、緊張の余り固まっている兵助を見て、後輩二人は声を揃えた。


「「人間湯たんぽだ・・(タカ丸さん限定の)」」



「二人も来て来てー!すっごくあったかいよ〜!!」


何も分かっていない先輩に、二人は顔を見合わせて苦笑いすると、相変わらず固まっている先輩の元へ駆け寄っていった。



end



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久々知が一言しか話してなかった!(笑。
火薬一家大好きです





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