忍たま

□陽のあたる方へ
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温かい陽射しが部屋に差し込み、薄暗い世界に色を付けた。

その光は畳みと、そこに横たわる色素の薄い髪を照らしている。
それは、きらきらと輝き、あまりの眩しさに、私は思わず目を細めた。


今、私は自分の部屋にて、愛用の武器−戦輪を一つ一つ、丁寧に磨いている。
戦輪だけでなく、手裏剣なども愛情込めて磨きあげる。
磨いた後に光に当てるとキラリと光りを反射する武器達をみるのが好きだったりするのだ。

一通り作業が終わり、手元の武器をゆっくり机に置いた。
ちらりと斜め下へと視線を落とせば、相変わらず、きらきら輝く薄い黄色。それの持ち主は、未だに気持ち良さそうに小さく寝息を立てている。いつも見れる蜂蜜色の瞳は今は閉じられて見えず、それを縁取る小麦色の長い睫毛と、薄く開いた桃色の唇はすごく柔らかそうで、私は暫く目を奪われた。

間近で見たくなって、静かに彼に近付き、顔を覗き込む。相変わらず綺麗な顔がそこにあって、見とれてしまう。

髪に触れてみれば、ふわりと、柔らかくて、触れる度に甘い香が私の鼻を掠めた。

思えば今の様に彼と二人きりになれる機会はあまりない。普段は同学年の綾部喜八郎がべったりと彼にくっついているし、一つ学年が上の豆腐小僧と言われている久々知兵助先輩が何かと彼に構ってくる。

そう思えば、今こうして二人きりな状態は、日々彼に想いを寄せている私にとって、この上なく大切な時間だ。

だがしかし、そんな機会なのだが、彼は今夢の世界に旅だっている状態。かといって、起こすなんて罪深い事は私にはできない。確かに寝顔を独り占めできるのは嬉しい。だがやはりそれ以上に彼と話がしたいし、彼の笑った顔とか、綺麗な声とか、(失礼かもしれないが)歳のわりには可愛い仕草だとか。見たくて堪らない。感じたくて堪らない。

早く起きて欲しい、なんて願いながら、優しく彼の瞼に唇を落とした。



少しでも多く、貴方の瞳に私を映してほしくて。



end




+++

何が書きたかったんだ…私……

滝→タカと言い張ります!




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