忍たま

□解りません!
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「いないなぁ…」


忍術学園中を走り回ったが、見つからない。
たいてい外にいるのだが、どうしたことか。


「綾部くんに教えてもらおうと思ってたのに…」


いつもなら、どこをふらふらしていても会う綾部くん。なのに何故こういう時に会えないのだろう。
困ったなぁ…。

小首を傾げ、考え込んでいると、近くから聞き慣れた声が聞こえてきた。声のする方へ近づいてみると、そこには何やら言い争いをしている同級生の姿が。


「私が1番だといっているだろう!」

「何を馬鹿げたことを!私こそ1番だ!」


一体何が1番なのだろうか。

睨み合い、自分こそ相応しいと主張し合っているのは、い組の平滝夜叉丸、ろ組の田村三木ヱ門。

そういえば、滝夜叉丸は学年一の成績だって言ってたなぁ。

一旦、言い争いが終わった。それを見計らって、僕は二人のもとへ駆け寄った。


「?どうしました?タカ丸さん」

「滝夜叉丸にお願いがあるんだけど、いいかな?」

「!?わ、私に…!?」


思わず自分を指指し、私ですかと、聞き返せば、そうだよと、タカ丸さんは頷いた。

今、隣にいる三木ヱ門でも、いつもタカ丸さんにべったりな喜八郎でもない。私に!?

隣を見れば、ショックを受けている三木ヱ門の姿があった。


勝った!


思わず、心の中でガッツポーズ。


「私でよければ聞きますよ」

「あのね、勉強を教えて欲しいんだ…」


少し控え目に話すタカ丸さんの腕の中には、宿題であろう一枚の紙と忍たまの友が。


これはチャンス!


「いいですよ。ここでは無理ですし、私の部屋に行きましょうか」


にっこり笑顔で、軽くタカ丸さんの背中を押すと、タカ丸さんは嬉しそうに、返事をした。

部屋に連れ込めば、誰も邪魔にはこない。つまり、二人きりになれると言うことだ!
…後の一言さえ、なければ。


「ちょっと待って下さい!」


そうはさせない!


部屋へ向かう二人を呼び止めれば、何?と、不思議そうに問う可愛いらしい瞳と、邪魔をするなと、露骨に嫌そうな顔がこちらを向いた。


抜け駆けなんて、許さない!!


「タカ丸さん、宿題ならこの田村三木ヱ門が手伝いします」

「三木ヱ門が?」


私の言葉にパチリと一回、瞬きをするタカ丸さんは、すごく可愛らしいものだった。


「邪魔をするな!タカ丸さんは私に教えて貰いたいのだ!!」

「滝夜叉丸など、自慢しかできない馬鹿ですよ!私がタカ丸さんに教えます!」

「黙れ!」


再び睨み合う。すると、タカ丸さんが止めに入ってきた。


「二人共、喧嘩しちゃ駄目だよっ!」

「すいません、タカ丸さん」

「こればかりは、絶対に譲れないンです!」

「な、なら、二人一緒に教えてくれないかなっ?」

「「え?」」


二人一緒に!?

コイツと!?


一瞬にして自分の顔が歪む。それと同時に、滝夜叉丸の顔も歪んだ。


「タカ丸さん、それは無理でs「そうそう無理ですよ、タカ丸さん」

「!?」


滝夜叉丸の言葉は違う言葉によって、途切れてしまった。




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