俺の上司様
□俺の上司様。第五話
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――どうか、どうか、と祈りながら……。
【俺の上司様。ー祈りをー】
「はい!今日は、もうこれで終わりにしよう」
いつもよりスムーズに進んだ仕事。今日までの書類等は、すっかり片付いた。
こんなに早く終わるなんて滅多にない。
いつもならこの上司を急かしている時間帯だろうに。
「どうしたんですか?今日は、やけに張り切ってません?」
「んー?そんなことないよ?」
なら、いつもこれくらいのペースで仕事をしてもらえないものか。
シンは横目にそんなことを思いながら、じゃ何かあるんですか?とキラに聞き返した。
「今日はクリスマス・イブじゃない?みんな、会いたい人いるでしょう?」
恋人だったり、
家族だったり。
「だから、今日は早く帰りましょうってこと。…シンもね?」
ほらほら、帰った。帰った。
そう急かす上司に背中を押されながら、シンはその執務室を追い出される形で出ていく。
でも、シンは思うのだ。
「キラさんは…?キラさんはいいんですか?」
思ったことを口にせずにはいられないシンの性分。
キラはそんなシンの真っすぐさが好きだ。
「うん、ありがとう。僕は…大丈夫だよ」
そう答えて、ドアを閉めたキラ。
シンは納得いかなかった。
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