頂き物

□命令
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執事ごっこ・キラ執事Ver.
    『命令』




仕立て屋がヤマのような荷物を持ち込んで帰った後、私が一つ一つ箱を開けて中を確認する作業をしていた時だった。



「制服が届いたのか」
そんな言葉と共にアスラン様が現れた。
「このような場所へお越しになるのは感心しませんね」
そこは使用人の控えの間で、間違ってもザラ家当主であり伯爵位を持つアスラン様が来るような所ではなかったのだ。しかしそんな私の嗜める台詞などどこ吹く風で、アスラン様はツカツカと傍まで近付いてきた。

私は深々と頭を下げた。
「有難うございます。皆喜びます」
「ふん。みすぼらしい制服なんかでウロウロされたら、当家の品格に関わるからな」
「尤もですね。早速支給いたします」
憎まれ口を叩くのは、アスラン様独特の照れ隠し。きっと頬を染めてらっしゃるのを見ないように、私は制服の確認作業に戻ったのだが。

おや、発注した個数と微妙に違っているような。


眉をしかめた私にいつもの冷静なアスラン様の声が届く。
「ところでキラ。今回お前は新調しなかったそうだな」
「ええ。まだ充分に着られますので」
誰だ?そんなつまらないことをアスラン様のお耳に入れたのは。
犯人は使用人の中にしかいないはずです。締め上げてキリキリ白状させ、よけいなお喋りは謹むよう教育しなおさねば…と一人一人の顔を思い浮かべていると、アスラン様が一番手近にあった箱を無造作に掴み上げ、私の鼻先に突き付けた。



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