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□フラストレーション
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それが何に向けられているものかなんて考えず、ただ逃げるように、手当たり次第だった。







【フラストレーション】







いつものように気が晴れない日。
いつものように請われるまま、誰も帰ってこない部屋に女を連れ込む。
無言だった。
それは緊張……というより、苛立ちだった。わかっているのだ、こんな事を繰り返しても気が晴れる事がないのは。
アスランは、それから目を逸らすのように女をベッドに座らせ、覆い被さるよいに押し倒した。
その時、

「う"…お、重い…」
「!?」

言葉を発しないはずのベッドが喋った。
アスランと女はぎょっとしてベッドから飛び退く。

二人が見守る中、もぞもぞとふかふかの布団から出て来たのは、茶色い髪の少年だ。

少年の紫の瞳が二人を認めた瞬間、女はビクリと肩を震わせはだけたシャツの胸元を手繰り寄せると慌て部屋を出ていってしまった。


追い掛けることもせず、女を見送ったアスランは深く息を吐いて、布団から出て来た少年を睨んだ。



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