頂き物

□スタンバイ
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ただの偶然だったんだと思う。マークシートの気紛れが生み出した、ほんの些細な偶然。
だけどそんな偶然から、僕らは勝手にひとまとめ。

あまりに薄情な関係は、原因がぴらぴらの紙だからなのか。そんなことは知る由もなく日々は過ぎ、そして。



     『スタンバイ』



定期試験も目前に迫ったある日。2―A在籍キラ・ヤマトは、いつもの憂鬱な時間を過ごしていた。

「どうです?ヤマト先生。今回はアスラン・ザラに勝てますかね」

「トールも少しくらいは勉強した方がいいんじゃない?」

「頼むよーキラ!1位になってアスラン・ザラの鼻を明かしてくれ」

パンッと小気味良い音をたてて、顔の前で両手を合わせるトール。キラはそちらには目もくれず、問題の答え合わせを続ける。

「明かしたいのは彼じゃなくて、賭けしてる人間でしょ」

「俺はお前を信じてるんだよ〜」

「全敗させてごめんね。次も2位だよ」

漸くキラはトールの方を見た。完璧な笑顔をたたえて、右手のシャーペンにヒビが入ったことには誰も気付かない。

「馬っ鹿!キラのオッズ凄い高いんだぞ」

「最っ低。ミリィに怒ってもらうからね!僕図書館行ってくる」

「待てキラ!頼むからミリィには〜」

哀れ、トールは自身の失言を悔やむばかりだった。



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