short
□Last Song
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もう、微笑むことも
もう、一緒に眠ることも
できない。
【Last Song】
二人が出会ったのは、夜の公園だった。
◇◆◇
スーツを着崩した藍色の髪の青年は、その日街の喧騒の中で微かに聞こえてきた歌声に惹かれて、そこに足を踏み入れた。
普段ならそんなことしないのに。
疲れていたのかもしれない。思い通りに行かない仕事と、自分。
いつもしないことをすれば、何か変えられると思っていたのか。
公園の中に入っていくと、楽器をならしている若者達が点々といる。
しかし、それは青年が惹かれた声とは違った。
まだ聴こえる、囁くような歌声を頼りに足を進める。
ふらふらと誘われるように。
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