short

□手
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「近くにいる方法?」



(あ……)

今、何言ってるんだ?って顔した。心外だ。こっちは真剣なのに。
 一瞬、怪訝そうに眉を顰めたアスランを僕は見逃さなかった。
 でも、僕はめげない。
 
「そ。ずっと、ね?」
 
「んー?それは、やっぱり――」

 手を口元にやり、考えながら反対側のソファーに座る僕に近寄ってきたアスランは、

 「――こうするのが一番じゃないか?」

 やっぱり僕を押し倒した。
 
「ばか、でしょ?」
 
「ひどいなぁ」
 
「だって、どこでもって訳にいかないでしょ?」
 
「俺はどこでもいいよ?」
 
「変態」
 
「……」

 そんなやり取りをして、やっぱり自分が考えた方法が一番じゃないかを思った。
 
「やっぱりこう、かな?」

 僕の顎にあったアスランの手を取って指を絡める。

 少し低めの体温。

 それが繋いだ手から伝わってくる。じんわりと広がる感じ。

 ううん。

僕の方が熱いから、伝えてるのかな?

でも、どちらだっていい。君がわかるなら。


 「こうすれば、近いし、離れられないでしょ?」


 自分で納得してアスランに微笑むと、アスランも嬉しそうに目を細めた。


 でもね。
 本当はもっと、もっと、もっと近くがいい。
 ねぇ、どうすればいい?


 「やっぱり俺はこっちのほうが……」
 「ばか」

 今度は大人しく目を閉じた。



END


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