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□左耳に声
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「キラ……」


酷く甘い声で囁かれる。
耳元で。

正直、反則だ。
あの声で、耳元で囁くなんて。

「ん?どうした、キラ?」

「ん、やぁ…!」

「もしかして、その気になってくれた?」


確信犯。
「くれた?」って何ですか?
狙ってやってるって丸分かりじゃないか。というか、隠す気ない?


「キ〜ラ」

ペロリと左耳を舐められる。

アスランの最近のお気に入りは左耳。
何故か左の耳元でばかり囁いてくる。

もう、身体に力が入らない。
そんな状態の僕を見て、アスランはニンマリと笑った。
悔しい、けど。

(大好きだ、ばか!)







「ん?左耳?」

「……何でかな、と思って」


少し気だるい、甘い空気の中。
気になっていたことを聞いてみた。


そうしたら、アスランは至極楽しそうに微笑んだ。

(な、何か企んでる?)

その笑顔に嫌な予感を覚える。


「右脳の役割を知ってるか?右脳は、聞いたままに感じやすい、直感的に働く脳なんだって。」

「……」


「だったら、左耳からの聴覚刺激の方が感じやすいんじゃないかと思ったんだが――どう、キラ?」



完全に術中に嵌ってしまった。


そんな事されたら、余計におかしくなってしまいそう。



ただでさえ、君の声が大好きなのに。





END

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