short
□alive
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そこに着くと、もうすでに花は添えられていて。
ああ、やっぱりと思わず溜息を吐いた。
「君らしい、よね…」
【alive】
「あれ?キラさん、花置いてありますよ?」
いつもより上司を早めに起こしに行った朝。
仕事に向かう前に行きたいところがあると、何故か私服姿で花を持った上司に連れていかれた場所は、白い石が立ち並ぶ所だった。
駐車場に残っているように言われたシンだったが、護衛もあるからと半ば無理矢理着いてきたのだ。
そして、キラが立ち止まったお墓の前にはすでに花が添えられていた。
自分達も朝早く来たせいか、辺りには人影が見当たらないというのに、一体誰が?
「レノア…ザラ…?」
その石に刻まれた名をシンが読み上げると、キラはコクリと頷いた。
「うん。アスランのお母さん」
そうシンに答えて、キラは持ってきた花を既に置いてあった花の隣にそっと添えた。
右手を胸に当て瞳を閉じるキラ。それに倣って、シンも目を閉じた。
そして、安易に付いてくるべきではなかったと反省した。きっと自分が踏み込んでいい範囲ではなかったんだと。
罰が悪そうな顔のシンを見て、キラは安心させるように微笑んだ。
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