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□言霊
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世界の最後の日に何を願いますか?
【言霊】
明日、僕の世界は壊れる。
僕の世界を構成していた大事な大事なモノがなくなる。
それは随分と前から分かっていたことで。
きっと最後の夜は一人で過ごし、その日を迎えるんだろうなと思っていた。
けれど。
予想に反して、一緒にいると
一番幸せで、
一番悲しい、
大切な人が一緒にいてくれると言った。
「本当によかったの?」
「何が?」
「何がって……明日でしょ、式?」
「ああ、いいんだよ。俺がキラと居たかったんだから」
君は残酷で甘い言葉を吐く。
「キラこそ、こんな日まで仕事?」
僕の世界は、デスクとソファー、ローテーブルしかないこの無機質な執務室で終わりを迎える。
お供には薄いコーヒーを……なんて内心自嘲していた。
「仕方ないじゃない。書類溜まってるんだから」
「蓄めたんじゃなくて?」
ソファーから横のデスクを見ると書類が山積みになっている。
どこまで分かって言っているのかわからない言葉に、曖昧に笑ってカップを手に取った。
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