頂き物

□今はこんなに
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言葉にしなくても伝わる気持ちに、なんとも言えない感覚に襲われる。
満足感。というよりはきっと独占欲とか支配欲に近いんだと思う。

「青空がキレー!」

アスランを追い越し子供のように空を見上げる彼。
どうしようもなく、なぜか急に名を呼びたくなった。伸びをする背中を見つめて、その背中に向かって、心の中で名前を呼んだ。
ありったけの思いを込めて声に出さずに名を呼んだ。

刹那

風が吹いて、髪を揺らし反射的に目を瞑れば、完全に青色と彼の背中が消える前に見計らったかの様に、ゆっくりとキラが振り返った。
閉じた瞼を押し上げれば、不思議そうな顔でこちらを見ているキラが口を開く。

「呼んだ?アスラン?」
「――ッ!」

驚いた。
徐々に満たされる。
溢れるくらいに満たされる。
この感情しか持ち合わせていないんじゃないかと思うくらい、愛しい。
返るとは思っていなかった答えに、感情が溢れた。

「………キラ」

今度は声に出して呼べば、変なの、と笑顔が付いてきた。

――ああ、好きだな。

じわり、と心に広がる強く純粋な思い。



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