short
□光
1ページ/1ページ
ぼんやり空を眺めていたら、段々色が薄くなってきて。
ああ、もう朝なんだなぁとやっと気付いた。
と同時に、またやってしまったと後悔する。
徹夜で仕事をしていたと知ったら、心配性の彼が何と言うだろう。
今からでも寝ようか。
でも、勿体ない気もする。折角、朝日が見れるんだから。
椅子に身を預けながら、どうしようかと窓の外を見たまま悩んでいると、目を開けていることが辛くなってくる。
もうちょっと。
睡魔との攻防。
粘ってみるけど、やっぱり勝てない。
もう駄目だと思った時。
(あ――)
緑の光が差した。
(――綺麗)
「キラー?」
その声にドキリとした。
あまりにもタイミングが良すぎる。
眠くて振り向く気力もない僕を、彼は歩み寄ってきて覗き込む。
「またお前は…」
「んー?朝早いね、アスラン?」
呆れたように溜息を漏らしつつ、深緑の瞳を細めて微笑んでくれるアスラン。
僕を抱き上げ、ベッドまで運んでくれる。
どうやら、アスランもまだ眠いらしい。
一緒にベッドに横になる。
優しく抱き締められて、スーと吸い込まれる感覚に襲われる。
心地いい眠りへの誘い。
そのまま眠ってしまいたいけど、彼に伝えたい事がある。
「アス…」
「ん?」
「朝日って…緑、の…光なんだ…」
「緑?」
「うん…」
まだ途中なのに。
うまく口が回らない。
でも、これだけは。
「…好き…」
だから、傍にいて。
こうして僕を包んで。
――僕には君が必要。
END