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□気付きたくなかった
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座っていた椅子が倒れ、激しい音を立てるほど勢いよく立ち上がったキラは顔面蒼白だった。
【気付きたくなかった】
机の上にあった書類の山がバサバサと音を立てて崩れた。
いや、そんなことを気にしている場合じゃない。
「シン、僕は帰るよ」
「は!?何言ってるんですか!?」
突然立ち上がった上司にシンは目を丸くして見ていたが、帰ると言われては止めないわけにいかない。
今日の仕事はまた残っている。キラがいないと終わらないのは明らかだ。
「離して!行かせて!」
「無理です!大体何なんですか!?」
執務室の出口に向おうとするキラをシンは後ろが抱きつくようにして必死に止めた。
「そうだ、シンにお礼言わないとね!気付かせてくれてありがとう!」
「何のことだよ!?」
混乱のあまりに敬語を無視し始めたシン。
「ホワイトデーだよ!お返し買いにいかないと僕死んじゃう!」
「は?」
確かにキラが取り乱す直前にそんな話をふったが。
「ラクス様ならそんなことで怒らないんじゃ……」
「違うよ!アスランだよ!」
「………なんで、」
「腹上死なんて嫌なんだ!僕は!」
アスランなんですか?と言うシンの言葉は、なんだか聞いてはいけない言葉によって遮られた。
「フクジョウ……?」
「いや、いつも下だけど、きっとアスランは……」
「いや、そうじゃなくて…」
◇◆◇
とか下品ですみませんι