short
□Last Song
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でも、二人が出会って一ヵ月が過ぎた頃からキラが公園に姿を見せる日が少なくなった。
それでもアスランは、容す限り公園に通った。
キラが来なくても、夜更けまで待っていた。
季節は、秋が終わろうとしていた頃だった。
「今日も、来ないか…」
ベンチに座り、星空を見上げてアスランは一人呟いた。
もう一週間以上、キラに会っていない。
何かあったのだろうか?それとも自分が何かしたのだろうか?
そこまで考えて、アスランはキラに執着してしまっている自分に気付き、自嘲した。
(でも、会いたい)
縋るように、空に手を伸ばした。
こんな気持ちは初めてだった。苦しい、こんなにも胸が。
「…キラ」
すべての想いを吐き出すように名を呼んだ。
「アスラン……何してるの?」
耳に馴染む甘い声に引き寄せられるようにアスランは振り向いた。
振り向いた先には、会いたかった人。
「久しぶり、アスラン」
「キラ!」
アスランはキラを抱き寄せる。
キラは腕の中におとなしく収まった。そしてアスランの背中に腕を回す。
「アスラン……僕、アスランにお願いがあって抜け出してきたんだ」
どこから抜け出してきたのかなんて聞けなかった。
聞いてしまったら、アスランはきっとキラのお願いを聞かずにそこに送り返す。
自分でも分かっていたから、アスランは無言でキラに続きを促す。
キラのアメジストの瞳が艶を増した。
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