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□左耳に声
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アスランの理論からすると、自分は確実に嵌ってしまっている。
早く気付くべきだった。
一週間前。
リビングのソファーでウトウトとしていた。
調整された気候ながら、眠気を誘われる淡い陽の光と温度。
気持ちいい。
耐え切れずに横になって、意識を睡魔に渡そうとしたときだった。
「キラ」
左の耳元で大好きな声。
「アス、ラン…?」
「うん。ただいま、キラ」
先程まで戦っていた睡魔はどこへやら。
瞼を押し上げると、新緑の瞳がとても近くにあって。
(あ……)
キス?
……なんて、甘い考えだった。
「おしおき」
「……は?」
その日から“アスランによる左耳攻め”が始まった。