short

□言霊
3ページ/6ページ





「一つ目は………昔みたいに、ぎゅって、抱き締めてほしいんだ」


緊張のあまり、途切れ途切れになってしまった言葉。
向かいに座るアスランが目を見開いたのを見て、言うんじゃなかったと後悔した。
後悔しても、もう言ってしまった。
今なら誤魔化せるかもしれない。けど、震えた声がリアルで無理だとも思った。
そう俯いて考えていたら、ソファーがぐっと沈んだ。

(え?まさか…)

顔をあげるとアスランが隣にいて、片膝をソファーに付き真剣な表情をして見下ろしてくる。

ドキンと鼓動が高鳴った。

そして、驚いて逃げをうった僕の体をあっさりと捕まえ、抱き締めてしまった。

(う、そ…)

「で?二つ目は?」

あの怖いくらい真剣な表情に反して、耳元で囁くアスランの声は柔らかく優しい。
ありえないと思うが、あまりにも予想外の事で声がうまく出てこず言いあぐねる。

「キラ?」

そんな僕の様子に構わず、アスランは優しく返答を促してくる。




.

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ