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□言霊
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「一つ目は………昔みたいに、ぎゅって、抱き締めてほしいんだ」
緊張のあまり、途切れ途切れになってしまった言葉。
向かいに座るアスランが目を見開いたのを見て、言うんじゃなかったと後悔した。
後悔しても、もう言ってしまった。
今なら誤魔化せるかもしれない。けど、震えた声がリアルで無理だとも思った。
そう俯いて考えていたら、ソファーがぐっと沈んだ。
(え?まさか…)
顔をあげるとアスランが隣にいて、片膝をソファーに付き真剣な表情をして見下ろしてくる。
ドキンと鼓動が高鳴った。
そして、驚いて逃げをうった僕の体をあっさりと捕まえ、抱き締めてしまった。
(う、そ…)
「で?二つ目は?」
あの怖いくらい真剣な表情に反して、耳元で囁くアスランの声は柔らかく優しい。
ありえないと思うが、あまりにも予想外の事で声がうまく出てこず言いあぐねる。
「キラ?」
そんな僕の様子に構わず、アスランは優しく返答を促してくる。
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