トリコ

□第1話
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それは、高級ホテル料理人(コック)小松が、カリスマ美食屋、トリコと出会う数日前の事……

1人の女性を乗せた小型船舶が、ある島を目指していた……──


?)「なぁ、リア。あんなとこにマジで1人で行くのか?」


リアと呼ばれた女性に向かってそう言ったのは、船を操縦している色黒でサングラスを掛け、左目に傷のある男性


『もちろん。自分の狩り(ハント)の為に、他の人を危険に曝せないでしょ?…と、言いつつ巻き込んじゃってごめんなさいね』


リアが申し訳なさそうに答えると、男性はそれを豪快に笑い飛ばした


?)「はっはっは!姫さんの為なら、この程度、何でもないさ。いつでも頼って来な」

『ありがとう、船長。頼りにしてる』


にこっと微笑み返すリアに、任せろと言わんばかりに、船長は猛スピードで船を走らせた





『ようやく見えた……』





しばらく海上を走ると、リアの目当ての島が見えてきた

その島の周りには数百、数千と数え切れない程の岩礁がひしめき合っていて、普通の船では通り抜ける事は出来そうもない


?)「バロン諸島、最南端、ババリア島。……さぁ、こっからが、俺の腕の見せ所だな」

『えぇ、お願いね。無事帰ったら、船長のお店に仕入れるから、良い値付けてよ?』

?)「物にもよるなぁ。ま、リアの仕入れるもんなら、間違いねぇだろうけどよ」


そう言うと、船長は再び猛スピードで岩礁の隙間を縫うように進んで行った……




















しばらくして、同じ様に岩礁を抜けて来た船には、船長の姿しかなく、その日以降、リアの姿を見かけたと言う者は、居なかった……──
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