No.6
□言葉が無意味な時もある
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『僕はネズミを詮索してるのかなぁ…。』
傍らでチチッと子ネズミが鳴き、後ろではガタガタと本を片付けているネズミ。
溜め息と一生に弱々しく出た声は紛れもなく僕の声だ。
「おい、手を動かせ。ボーッとするな。」
『…うるさいな。』
誰のせいでこんなに悩んでると思ってるんだよ。
間違った八つ当たりの仕方だと分かっていても言葉がキツくなる。
「だったら、どっか行け。別にお前なんかいなくてもおれは生きていける。」
ムッとする。
『ぼくは君がいないと生きていけない…。』
「だろうな。捕まって殺されるのがオチだ。」
イラッとする。
分かってない。そういう意味じゃないのに…。それともはぐらかされているのか?分からない。
知りたいと言えば詮索するなと言われるし、惹かれていると言えばチンパンジー以下だと言われる。
「おい。」
『どうすれば分かってもらえる?』
「…また無駄なこと考えてるのか。いい加減にしろ、今は本の片付けが先だろ。」
ネズミの声が右から左に流れる。どうせ分かってないんだ。
。