No.6

□求めればいい
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「ネズミ、先にシャワーを浴びていいかい?」

「…あぁ」


ネズミは手元の本から目を離さず返す。


「はぁ…」


小さく溜め息をつきながら服を脱いでいく紫苑。

ネズミに連れられてここに来た訳だが…後悔はしてない。

ただ…気まずいだけだ。独りよがりなのは分かってる。


「駄目だ。こんなことじゃ…」


頭からシャワーをかぶる。

『自分の身は自分で守れ』

「…ネズミ」


髪が肌にまとわりつくのも構わず打たれ続ける。

こんなんじゃ駄目だ…ネズミの足手纏いになるだけだ。


「上がろう…」

早々に上がることにした。タオルを掴み、出ようとした。

瞬間、視界が反転した。


ガンッ!!


「…紫苑?」


本から目を離す。

………。

何かぶつかった音がしたかと思うとシン、と静まりかえる。


「…。」


本を投げ出して音がした方へ駆けるようにして行く。

「紫苑?」

「…。」


返事が無いことに焦りを感じる。1人だった時は感じなかった感情だ。


「ぼ、僕は大丈夫だ」

「…開けるぞ。」

「だっ大丈夫だって言ってるだろ!?」


明らかに態度が可笑しい少年を放っておけ、というのだろうか。


「何で駄目なんだ??」


素直な疑問を返す。


「…かし…い」


よく聞こえない。


「は、恥ずかしいからっ!駄目だ!!」

「…男同士なのに?」


返答が無いようなので、開けることにした。


「わっ!!ネズミ!?」


制止する声を無視して。





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