No.6

□どうしようもないくらい天然の可愛いヤツの話
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「かまってやろうか?」

『…へ?』


思った通りの反応。すっとんきょうな声とぽけっとした顔はこの世界に似つかわしくないぐらいだ。

いわゆるバカってことだが…。


『どういう心情の変化なの?』

「へぇ、言うようになったな。」

『そういう意味じゃないよ。』


落ち着いているのか焦ってるのか。よく分からないが面白いヤツだ。

見てて飽きない。


「相変わらず本読んでるから、かまってやろうかと思ったまでだ。別にいいなら仕事に行く。」

『あっ、やだ。かまって欲しい…わけじゃないけどネズミと一緒にいたい。』

「天然。」


それがどういう意味で、おれの中で解釈されるのか分かってるのか?

いや、分からないだろう。ちょっとからかってみるか。


「おれも紫苑と一緒にいたいって思うよ。」

『本当?』


嬉しそうに、でも驚いたように目を大きく開ける。


「本当は紫苑とどこかに出かけて沢山遊びたいと思う。」

『それいいね。けど…。』


けど?けどなんだ。紫苑は頬を仄かに赤く染めて、伏し目がちになる。





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