No.6

□イヴ<ネズミ
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点いて往く灯火を…消えて逝く灯火を…

漆黒の髪が…緋い瞳が…黙したまま見送るだけ…

嗚呼…唯…頁をなぞる様に…戯曲通りに役者は踊り…

残酷な幻想の美しい刺が…灰甘い陶酔を魅せ…

残酷な幻想の華やかな毒が…灰昏い奈落へと観客を誘う…





…‥ーーー。


彼が歌い終わった途端、大きな拍手が沸き起こった。


誰しもイヴ、イヴと叫んでいる。

まるで崇拝してるみたいだ。


観客に愛想笑いを振りまく彼と一瞬目が合った気がした。



緋い瞳が真っ直ぐと……いつもの灰の色とは違うソレに思わず、ドキリとした。


ここは狭いが、人がぎゅうぎゅう詰めになっていた。そんな中で、視線が合うなんてない……。


そう自分に言い聞かせるように、僕は其処…未だ観客冷めやらぬ場所から立ち去った。




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