No.6

□言葉が無意味な時もある
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「紫苑。」

『わっ!?』


突然顔を覗き込まれる。思わずマヌケな声を上げてしまった。

けれどネズミ顔色1つ変えず、真っ直ぐ見つめてくる。


「何考えてた。」

『…無駄なことだよ。』


ふいっと顔を背けようとしたが、顎を掴まれた。

さっきより鋭い目。思わず目線を反らしてしまう。


「言え。言わないと追い出す。」


なんだよ…卑怯者。

負けじと睨み返す。


「言わないのか?追い出すぞ。」

『だってネズミのこと考えてたなんて言ったらまたバカにするだろ?』

「何でそんなにおれのことを考えるのか知りたいね、逆に。」


惹かれてる、愛してる。言ったって無駄になる。バカにされる。


「言っても通じないって顔してるな。」


焦れったい、意味もなく。


「なら行動に移せ。」

『えっ?』


立ち上がって再び本を片付け始めるネズミ。


『…ネズミ。』

「ん?」


そっと側に行き、手を重ねる。

そっか。こうすれば君に分かってもらえる。


触れるようなキスのあと、ネズミは真っ赤な顔をして言った。


「お前、バカだ…。」

『またそうやってバカにする!!』


僕の奮闘記はまだ続く。




to be continued...
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