No.6
□いつかこの意味、届くまで
2ページ/3ページ
…え?
にっこり笑って、私の手にそっと彼の手が重なる。
嘘…。
私?私…なの??
「紫苑…。」
嘘と言って。いや、言わないで。お願い、早く訂正して!
『僕、沙布のこと好きだよ。だって親友だし。』
親友…。
悪意のない笑み。口の中の甘み。頭を石で殴られたような痛さ、胸を刺す「純粋」という名のナイフ。
「そう…だよね。」
やっぱりダメだ。どっちにしろ零れ落ちる運命だった雫たち。
『沙布、どうしたの?どこか痛い?』
痛い、痛いよ。本当のことって1番イタい。
「私も紫苑が大好き。本当なんだから…。」
『沙布。』
もうだめ。喋れない。あとは貴方のこの柔らかい胸で泣かせて?
きたない、腐ってるからって拒絶しないで。
今もこれからも…。
―紫苑、好きよ。愛してる。―
この意味が分かってもらえるまで私は私のために甘え、腐り、堕ちてゆく。
END